アクシアル リテイリング原和彦社長が激白! 基盤機能の再整備と26年の戦略とは

関川 耕平 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

アクシアル リテイリング(新潟県/原和彦社長)124日、アナリスト向けのスモールミーティングを開催した。20263月期上半期は、商勢圏に競合が続々と出店し激しい価格競争を迫られた同社。原和彦社長は上半期をどう振り返り、今後をどう見据えているのか。スモールミーティングでの発言を抄録する。

アクシアル リテイリング本社

上半期増収でも今後の価格競争に警戒感

 26年3月期中間期の売上高は1467億円(対前年同期比6.5%増)と、想定以上に伸びた。しかし、その裏側では強力な競合との厳しい競争が続いている。とくに今期に入ってから、当社の商勢圏である新潟県、富山県、長野県で、低価格販売を強みとする食品スーパーの出店が加速してきた。アークランズ(新潟県/佐藤好文社長)さんがフランチャイズで「ロピア」を新潟県内に出店するなど、強力な競合も現れている。

 このような環境下にありながら、上半期の既存店売上高は対前年同期比6.6%増と、期初予想を大きく上回った。この業績は、物価上昇が続くなかで、「お客さまからの支持」を最優先に、大胆な価格競争対策を進めてきた成果だと考えている。

 競合店を意識してシビアな価格対応を行った店舗は全体の2割程度だ。値下げを断行した店舗は、利益の減少を避けることはできなかったが、残りの8割の店舗で減少分をカバーしきることができた。ただし、この状態を今後も継続できるとは考えていない。

 実際、すでに一部の競合店は、同社の価格対応を受けてさらなる値下げに踏み込む動きを見せている。さらに下期は、「ロピア」の新潟県内3店舗目がオープンを控えている。出店地は当社の本拠地である長岡市となっているため、かなり警戒している。今がいちばんの踏ん張りどころだ。

 しかし、われわれも守りに徹するばかりではない。5月に公表した中期経営計画(263月期~283月期:以下、中計)では、新規出店12店舗、売上高3100億円を目標に掲げている。その実現に向け、商品製造、物流、ITといった店舗運営における基盤機能の再整備を進めている。長野県エリアセンターの新設は今期末を予定しており、前橋の製造物流拠点については、中計期間内(283月期まで)に建設していきたいと考えている。

 長野エリアは現在6店舗を出店している。売上高は170億円を超え、一定の軌道に乗りつつある。この状況を踏まえ、長野エリアセンターの今期(263月期)中の設置を計画した。

 さらなる事業規模拡大に向けてM&A(合併・買収)も視野に入れている。基本的には、同一商勢圏内の企業との連携であればシナジーを創出しやすいと考えている。しかし、既存のインフラを活用できないエリアの企業であっても、独自性がある企業と組むことができれば、新たなシナジーが生まれる可能性は高い。そのため、自社の商勢圏外の企業と手を組む選択肢も視野に入る。水平統合だけでなく、場合によっては垂直統合も検討対象としている。

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記事執筆者

関川 耕平 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

1995年生まれ。同志社大学文学部英文学科卒業。

24年に株式会社ダイヤモンド・リテイルメディアに入社し『ダイヤモンド・チェーンストア』の担当編集者となる。

趣味はクライミングとコーヒーを淹れること。特技と悩みは浪費と早食い。

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