京都発のラーメン店「キラメキノトリ」、吉野家HD入りで描く新たな成長戦略

文・構成:崔 順踊(リテールライター)
取材:阿波 岳 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

3つの店舗サイズで出店加速 大阪市内へも初進出

 吉野家HD入りによって大きく変化したのが出店戦略だ。同社はこれまで、立地条件に合わせてS(店舗面積が約10坪・客席数10席)、M(同約20坪・20席)、L(同30坪・30席)の3フォーマットで店舗を展開してきた。25813日には、大阪市内初出店となるSサイズに該当する「キラメキノトリ 蒲生四丁目店」をオープン。同店を起点に、今後は関西一円での店舗網拡大を本格化させる方針だ。

大阪市内初出店となる「キラメキノトリ 蒲生四丁目店」
大阪市内初出店となる「キラメキノトリ 蒲生四丁目店」

 久保田氏は「吉野家HDの店舗開発部門から、これまで得られなかった物件情報を入手できるようになった。出店の選択肢が広がり、非常に心強い」と話す。スピーディーな店舗展開を支える情報ネットワークに加え、運営管理面での手厚いバックアップ体制も、企業成長を後押しする大きな要素となっている。

 また、商品開発にも相乗効果がもたらされている。その象徴がサイドメニューの唐揚げだ。キラメキノトリではこれまでも名物メニュー化をめざして改良を重ねてきたが、原価の制約からサイズアップは難しかった。しかし今後は、吉野家が持つ仕入れルートを活用することで、高品質な鶏肉を安価に調達できるようになる。これにより、吉野家の唐揚げと同等のサイズ感とクオリティを、キラメキノトリ各店でも提供できる見通しだ。

吉野家の唐揚げと同等のサイズ感とクオリティを再現した唐揚げ(5個で税込650円) 

 さらに、高騰が続く米については吉野家から仕入れることで仕入れコストの削減を実現している。こうした企業努力とグループシナジーにより、原材料価格の高騰下にあっても、キラメキノトリでは「ラーメンは1000円札を握りしめてお釣りがくるくらいでないと」という久保田氏の信念を貫くことができている。

 

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取材

阿波 岳 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

大学卒業後、社会の荒波にもまれる日々を経験。そこで書籍や会報誌の編集に携わるうちに、メディア事業への興味が芽生え、今に至る。
趣味は喫茶店巡りと散歩。喫茶店での一杯のコーヒーや、街角の散策を生きがいとしている。
これまで全都道府県を制覇するという小さな目標を達成した。何かを極めたり、制覇したりすることには、なぜか人一倍の熱意を注いでいる。
最近の悩みは、ここ数年で増えた体重との戦い。健康の大切さを意識しつつも、喫茶店のコーヒーに合わせたスイーツや、ランチの大盛りがやめられない。今日もまた元気に「大盛で!」と注文しつつ、明日こそ控えめにしようと心に誓っている。

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