百貨店・松屋が人材育成事業に進出! デザイン×ビジネス融合型独自プログラムの中身

小内三奈

松屋×デザインが生む、唯一無二の学びの場

松屋人材育成講義風景
講義風景

 FLAGの大きな特色の一つが、単なるビジネススキルの習得にとどまらず「デザイン活用」や「クリエイティブシンキング」を重視している点である。これには、松屋とデザインとの深いつながりが関係している。

 松島氏はこう説明する。「松屋は1953年、日本デザインコミッティーが設立された当初から支援を続けている。現在も銀座店7階にある『デザインコレクション』は、日本デザインコミッティーと松屋が55年に立ち上げたセレクトショップの草分け的存在。正直、当時売上は決して良くはなかったと聞いているが、それでも松屋は一貫して『デザイン』という価値を発信し続けてきた。都市型百貨店として松屋らしさを出していくことを考えたとき、『デザイン』は間違いなく松屋の個性の一つとして大切なアイデンティティになっている」

 そうした経緯から、日本デザインコミッティーの現理事長、田川欣哉氏も「デザイン感度を持った次世代リーダーの育成」というFLAGのコンセプトに共感。構想初期からプログラム設計に全面的に協力し、他社が手掛けるリーダー育成プログラムとは違った、「デザイン」×「ビジネス」を融合させた松屋独自のプログラムが誕生した。

松屋ワークショップの様子
ワークショップの様子

 講義は大きく分けて3つの柱で構成される。

 1つ目は、マーケティング、アカウンティング、ファイナンス、経営戦略、グローバルパースペクティブ、キャリア開発など9つの『ビジネススキル』。2つ目が、デザインをビジネスに活かす方法を学ぶ『事業創造におけるデザイン活用』。そして3つ目が、トップデザイナーのプロジェクトの実例から学ぶ『クリエイティブシンキング』だ。

 「たとえば『デザイン』というと、プロダクトやパッケージなどの外観デザインを思い浮かべがちだが、FLAGではユーザー理解を起点にした、課題解決の手段としてのデザインを取り上げる。レクチャーだけでなくワークショップを通した実践学習を通じて、ビジネスにどうデザインを取り入れていくかを学ぶ」(松島氏)

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