スーツ離れが進む中で絶好調! 「オーダースーツSADA」強さの秘密と今後のねらい

2025/05/07 05:55
吉牟田 祐司
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スーツとは、おもてなしのドレスコードである

SADA松本店外観
松本店外観

 さらなる成長を続けるうえでは、店舗網の拡大も欠かせない。

 佐田氏によると、次に出店する最有力候補は京都。大阪に7店舗、兵庫に3店舗を展開しているが、京都にはまだ店舗がない。また東京駅新丸ビルの店舗では、地方からの来店客から「地元に欲しい」との声が多く聞かれるという。

 出店に関して佐田氏はこうも言う。「看板が目立つ店舗を出していきたい。Web予約して来店もらう場合がほとんどのため、以前はあまり気にしていなかったが、看板が見える店舗かどうかで意外と客数に差が出ている。知名度が上がってきたおかげだと思う。理想は路面店。地方都市の場合は駐車場がしっかり確保できれば駅前である必要はない」

 目標は70店舗での展開。オーダースーツ事業1本で30年までに売上高100億円を目指す。「売上とは詰まるところお客さまの数。お客さまが増えていく状況を作り出していかなければならない」と話す。宣伝・広報に年間約2億5000万円を投下しているが、マス広告の出稿は年間2000万円以下と少ない。大部分がYouTubeをはじめとするSNS、SEO対策を含めたWebマーケティングに使われているという。

 会社の知名度、信用度を上げていくために自身が前面に立って情報発信し、その中で講演の依頼も増えている。広報活動が成功しているあらわれといえそうだ。スーツとは、おもてなしのドレスコードである。このことを、より多くの人に理解・認識してもらうために、講演の依頼はできる限り断らず、メッセージとして発信し続けている。

「日本人は世界一のおもてなし民族だと思う。だからこそ、見た目からもその気持ちが伝わるようにしたい。たとえば国家間がビジネスする外交の場でも、ほぼ全員がスーツ姿だ。正装ということであれば、中国なら人民服、アラブ諸国なら頭から足まである白い長そでの民族衣装だが、そうではない。相手に敬意を表し、礼を尽くす服装として、スーツが世界共通のドレスコードになっている。胸を張って世界に出ていけるようにしたい」

 フルオーダースーツの敷居を下げるとともに、日本人のスーツに対する見方を変える伝道師。その熱い思いが伝わり、浸透した結果が、過去最高の売上高につながっているようだ。

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