トライアル、西友買収の衝撃! 会見で示された「6つの目的」とは
商品開発、製造・物流戦略、リテールテックでのシナジー創出もねらう

次に④の商品力の強化については、前述のとおり西友のPBは残す方針だ。一方でトライアルはここ数年、総菜を中心としたオリジナル商品の開発に注力しており、PBおよびオリジナル商品の相互供給や共同開発によって、店舗競争力を高めるねらいだ。
⑤については関東エリアを中心に、西友が持つ製造・物流インフラをトライアルグループのサプライチェーンに組み込むことでのシナジー創出を図る。とくに生鮮や総菜のプロセスセンター(PC)の活用域を、両社のノウハウを結集させながらトライアルグループ全体に拡大することで、西友およびトライアルに並ぶ商品のアイテム数や品質をさらに向上。それによって、競争激しい関東エリアでのシェア拡大につなげたい考えだ。
そして⑥のリテールテックの拡大に関しては、西友の買収によって売場から得られるデータの量・質を高め、メーカーとのデータ連携を加速。さらにトライアルが現在200店舗超に導入しているスマートカート「Skip Cart」を西友の店舗にも導入し、顧客の買物体験を向上させる。加えて、トライアルが現在九州の他の小売企業とも連携しながら推進するリテールメディアの取り組みについても、人口密集地である関東エリアをカバーすることで、メディアとしての価値向上を見込む。
「さらなる業界再編の布石」を言明
他方、トライアルは西友買収の”戦略上の位置づけ”の1つに、「さらなる業界再編の布石」を掲げた。関東、中部、関西という人口密集地で強固な事業基盤を確立したうえで、「全国規模の業界再編で主導的立場になる礎を築く」(配布資料より)というのだ。今回のディールによって、トライアルグループが国内市場で存在感を一挙に高めることになるのは明らか。それにとどまることなく、さらなる規模拡大への意欲を示したかたちだ。
ただし亀田社長は「まずは西友との協業に注力する」として、2社によるシナジー創出を最優先に、店舗や商品開発での連携、そして人材の融合を進めていく考えを示した。
セブン&アイ・ホールディングス(東京都)によるヨークHD(同)株の売却、イオンのイオンモール(千葉県)子会社化など大型再編が相次ぐ中、トライアル・西友連合は今後、国内の小売市場にどのようなインパクトを与えていくのか。しばらく目が離せない状況がつづく。







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