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購買の主導権は店からお客へ いま実行すべき「店舗経営2.0」とは!?

こんにちは、成田直人です。前回は、高い能力を持ったスタッフが辞めない店のつくり方について話をしました。
今回は、店長にしかできない本当の店長の仕事とは? についてお話します。

Photo by Hispanolistic

仕事は「管理」ではなく「創造」

 店長の仕事とは何でしょうか? スーパーマーケットをはじめいろんな業界の店長研修を受け持った経験から私が言えることは、どこも人材不足のため店長が〝何でも屋〞になっているということです。

 それでも業績が良ければいいのですが、店長が何でも屋になった店の業績はどこも微妙です。それどころか、うまくいっていません。それこそ前回お話しした離職率も高くなっています。店長がスタッフのモチベーションアップを図るような取り組みよりも日々のオペレーションで手一杯になっているのです。売上もスタッフの定着率も微妙では先が知れますよね。

 こうした店の業績が悪いいちばんの理由は、店長が本来やるべき仕事ができていないからです。では店長が本来やるべき仕事とはいったい何なのか?それは、「管理」ではなく「創造」です。

 創造の話をする前に、管理についてお話しします。ストアマネジメントは日本語に直訳すると店舗管理になります。これまでの店長の役割は店舗管理が仕事でした。たとえば、商品・人材・売上の管理です。すでに「あるもの」を管理することが仕事の中心だったのです。本部指示で商品が入荷し、店に到着した商品を管理します。人材も同様に本社が広告掲載することで店舗に採用見込み者が電話をし、採用となった後に、彼ら彼女らのシフト管理をします。売上もそうです。今日の売上、昨日の売上を管理します。すべての仕事がすでに「あるもの」を管理しているのです。だれも自分でメーカーに問い合わせをしてバイヤーのようなことはしないし、本社がそういうことを許さない。採用も同じ、自分で媒体を選んで時給を自分で決めることだってできません。売上だって未来の売上予測を自分で立てて販促案を構築しません。本社が未来を創造し、店舗は管理するのが仕事と役割が完全に分かれていました。

店舗経営1.0から2.0の時代へ

 これまでは本社の言うとおりに店舗は動いていれば売上が上がっていました。それこそ毎年のように過去最高売上を更新して業績はうなぎ上り。理由はとても明快で、ビジネスモデルが時代に合っていたのです。「より大きな店をよりよい場所に出店し、より大きな駐車場を完備し、より多くの商品をより安く販売する」というワンストップショッピングが最強のビジネスモデルだったのです。

 しかし、今はどうでしょうか。プロ野球の球団を持つほどの隆盛を誇った某小売業もライバル企業の軍門に下って久しい。百貨店の不振も同様の理由で、地方百貨店の多くは壊滅状態です。もう当時の店舗経営スタイルでは業績を伸ばすことができないということを物語っているのです。

 不振店舗が増えているということは、かつての手法は限界であることを意味しています。そこで私は今「店舗経営2.0」に移行しつつあると考えています。「店舗経営2.0」の主役は本部ではありません。あなたがトップを務める店舗が主役です。

 これまでは顧客側が持つニーズについても、こだわりはありませんでした。なぜなら主導権は顧客にはなく店舗にあったからです。店舗の打ち出しを無条件に受け入れるしかなかったのです。

 しかし、今はどうでしょうか。購買の主導権は顧客に完全に移りました。選択肢が豊富で今までのビジネスモデルにしがみつく会社は市場に埋もれていったのです。店舗の打ち出しを強要できる時代は終わり、顧客の多様化したニーズにリアルタイムに応えられる店だけが生き残れる時代になりました。来店する顧客の細かいニーズを把握しているのは店舗スタッフです。本社は帳簿を見てトレンドを判断しますが、数字に表れない顧客の声を拾えるのは店舗のみ、だからこそ主役は店舗なのです。言ってしまえば「店長」が主役だということです。

 次回は、店舗経営2.0時代の本当の店長の仕事について解明していきます。どうぞ次回もお楽しみに!

なりた・なおと
19歳でABCマートアルバイト個人売上日本一を獲得。マネージャーになり昨年度対比1位、2位の原動力となる。その後、PC専門店PCデポに入社し、7ヶ月で個人売上1億円を達成。翌年、「良い」よりも「成果が出る」をモットーに小売・サービス・飲食業専門コンサルティング会社「株式会社FamilySmile」を創業。現在は、一部上場企業を中心にコンサルティング・研修・講演を手がけ多くの店舗で昨年度対比120%を達成。中には、3年で売上2倍になる店も続出するほどコンサルティングには定評がある。その功績が認められ日本三大褒章の一つ中小企業のノーベル賞と言われる「東久邇宮文化褒章」を受賞。セミナー講師ナンバーワン決定戦「S-1グランプリ」初代グランプリを獲得。