彷徨うコンビニその1 「横並び」から抜け出せない大手チェーン

森田俊一(流通ジャーナリスト)
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喧騒にかき消されたローソン新浪元社長の言葉

 かつて、ローソン(東京都)の社長であった新浪剛史氏(現サントリーホールディングス社長)が、「24時間営業でなくても構わない」と発言し、物議をかもしたことがある。

 業界は突然飛び出したローソンからのアンチテーゼに騒然となったものの、それ以降に24時間営業が真剣に議論されることはなかった。あの“主張がハッキリしている”新浪氏の言葉ですら、業界の喧騒にかき消されてしまった。

 しかし、コンビニ業界はすでに「追い込まれた」と言っていい。業界を苦しめる人手不足問題が解消される見込みはない。次世代型フォーマットや運営の仕組みを早急に構築し、加盟店の負担を軽減していかないと、第二、第三の「加盟店の反乱」が起きかねない

 「無人化」「省人化」など、コンビニ各社は現在、業務の中でも作業負担が大きいとされる決済業務の合理化を進めている。もちろん、これは重要なことであり、一刻も早く仕組みを完成させ、フランチャイズ店舗に導入するべきだろう。

 そして、コンビニチェーンは、これ契機にビジネスモデルを再構築すべきではないだろうか。その中では、増えすぎたサービスを見直すなど、“割り切り”も必要になってくるだろう。おでんやファストフードの販売方法あるいは製造方法の改革など、やることは少なくない。

 今後も、加盟店オーナーの高齢化は進む。その一方で、消費者のニーズは急速に変革している。改革から生まれる「革新」を次のコンビニには期待したいところだ。

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