儲かるアパレル、儲からないアパレルの違いが判明!「TOC」をわかりやすく解説!
「勝ち方」は自社だけのもの
他社をそのままマネてもうまくいかない
飛田 河合さんから見て、高業績な会社のうまいやり方から学び、自社に当てはめて利益を上げるコツはなんですか?
河合 アパレル業界では、そこが非常に難しいのです。例えば、今勝っている好業績のアパレルはユニクロですね。しかし、では、彼らと同じシステム、MD、戦略を行ってもうまく行きません。例えば、システムですが、彼らのシステムは作った商品を売り減らす手法です。これを他のアパレルが真似したら、過剰在庫の山になって一発で死んでしまいます。ユニクロのように商品競争力が高く、「商品が売れる」場合にのみ機能するやりかたです。例えばZARA。ユニクロより圧倒的にSKUは豊富で、開発型というよりマーケット追随型なので、売れる商品から後半に継ぎ立てしてゆく逆方向に商品や情報を回します。
このように、「本質的な勝ち方」は自社にしかなく、それを他のアパレルを参考にして、自社用にカスタマイズすることがコツです。そういう意味で、コンサルタントを使うというのもよいかもしれません。

飛田 同感です。我々も決まったやり方を押しつけるようなやり方はしていません。そんな中で、より繁盛する会社になるために、テクノロジー(DX, AI)をどこに使うのが良いでしょうか?
河合 これは、「MD」ですとハッキリいえますね。
理由は3つあって、一つは、初期投入計画が、追随商品以上に大事になってきていること、こうした商品投入戦略をコントロールできるのはMDであること。アパレルの業務の中では、感性でなく、再現可能な比較的科学的アプローチが可能であること、の3つです。逆にOnebeatは、MDを中心にアパレルの隅々の業務と連携し、余剰在庫や機会ロスを最小化できるから、うまく行けば、確かに初期投入を含めたこれまでの知見をうまくシステム化できますね。
最後に一つ質問をさせてください。この対談を読んだ読者の方はアパレル出身の方が多いと思うのですが、彼らはすでに在庫削減のソフトウエアを導入しています。このように、過去にいれた余剰在庫削減ツールがすでに入っている場合、共存は可能でしょうか? また、その場合のメリットを教えてください
飛田 可能です。Onebeatを入れるのは敷居が低く、初期に必要なデータは、拠点や商品のマスターファイルと、日々の販売数、在庫数だけです。他社製ソフトを導入済みの場合は、すでにこのようなデータが存在しますので、導入のハードルはさらに低くなります。また、当社では、とにかくシステム投資額よりも、得られる真水の利益額を大きくすることに注力しています。話だけでは在庫管理ツールの性能差が分からないかもしれませんので、無償でトライアルしていただき、実際にお金が生み出されるか実証してもらっています。AI導入が、コンピュータ屋さんを儲けさせるのではなく、アパレル企業のみなさまの儲けを短期間で、かつ、継続的に増やすことにこだわっています。
河合 今日はありがとうございました。私自身もこの業界に長くいますので、よくある余剰在庫削減パッケージと、Onebeatの違いについて、自分なりにまとめてみました。Onebeatは、アパレル業界の収益改善に大いに役立ちそうです。また、仕事でご一緒できるかもしれません。今後ともよろしくお願いいたします
飛田 こちらこそありがとうございました。
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プロフィール
株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。
著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「
筆者へのコンタクト
https://takukawai.com/contact/
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