狙いはZ世代だけじゃない KDDIがeスポーツ施設に取り組む理由
企業研修、自治体との連携……広がるeスポーツの可能性

eスポーツ市場に参入する企業は増えており、中でも多くのアセットを所有する鉄道会社や不動産会社の動きが目立つ。また、地方でも九州電力の子会社・QTネット(福岡県福岡市)が2021年にeスポーツ総合施設「esports Challenger’s Park」を立ち上げるなど、全国規模で広がりつつある。
KDDIでも、これらの企業と日ごろから情報交換したり、他社が主催するイベントに協賛したりしているという。「競合というよりeスポーツ市場を盛り上げるパートナーとお互いに認識している」(砂金氏)
その他にも、eスポーツはさまざまなビジネスやパートナーシップの可能性を秘めている。学校現場ではGIGAスクールなどを背景にeスポーツが急速に普及しており、eスポーツの部活動を持つ学校は545校(北米教育eスポーツ連盟日本本部に加盟する学校数/2024年10月18日現在)に上る。「esports Style UENO」でもeスポーツのプロチームと提携し、ジュニア選手育成のeスポーツスクールを開校している。
また、福利厚生やビジネス交流を目的にeスポーツの社内サークルを設けるなど、企業の間にもeスポーツは浸透しつつある。「対戦型ゲームには、チームプレーや戦術など高度なタスクが求められる。管理職研修としても適しているのではないか」と、砂金氏は企業研修のマーケットにも目を向ける。
「さらに行政においても、認知機能低下の防止など高齢者の健康増進を目的にゲームを推奨する動きが一部の自治体ではある。今後は教育や健康増進などの施策面で自治体との連携も模索していきたい」(砂金氏)
既に「eスポーツの聖地」としてゲームファンの間に認知されつつある「esports Style UENO」。今後はeスポーツを軸に、企業や行政などをつなぐハブとしての役割も大いに期待される。