狙いはZ世代だけじゃない KDDIがeスポーツ施設に取り組む理由
「au Style」への集客強化からeスポーツに着目

なぜ、KDDIではこの「esports Style UENO」でeスポーツビジネスに乗り出したのか。「もともとはリアル店舗への集客から構想が始まった」と砂金氏は振り返る。
auのキャリアショップとして、従来の「auショップ」から2020年にコンセプトを一新した「au Style」。国内に300店舗超を展開し、auやUQ mobileの機種・プランの取り扱いに加え、「auひかり」「auでんき」「auじぶん銀行」など各種サービスを提供する。
しかし、端末価格高騰による買い換えサイクルの長期化や各種キャリアのオンライン販売強化など、auに限らずキャリアショップをとりまく環境は厳しさを増している。加えて、格安SIMスマホの普及や二次流通市場の拡大などスマートフォン市場そのものがレッドオーシャンの様相を呈しており、若年層を中心にキャリアショップから足が遠のきつつあるのが現状だ。
「オンラインの販売チャネルもあるとはいえ『au Style』は当社にとってお客さまとの重要なタッチポイント。店舗に来ていただくためにも、従来の携帯販売店とは異なる領域で特徴を打ち出す必要があった」(砂金氏)
Z世代をはじめとする若年層にとってマグネットとなりうるコンテンツとは何か――そう考える中で浮上したのがeスポーツだった。
一般社団法人日本eスポーツ連合の「日本eスポーツ白書2023」によると、eスポーツの市場規模はコロナ前の2019年の61.2億円から、2023年には162.2億円に拡大。今後も年平均20%を超える成長率での拡大が見込まれるという。市場のポテンシャルが大きいうえに、若年層の圧倒的な支持を得ている。KDDIの本業である通信との親和性も高い。
そこに、アクセスのよい上野の店舗の3階に、もともとイベントスペースとして活用していたスペースがあった。こうした要因や条件が揃い、「espo rts Style UENO」の開設に至った、というわけだ。