日本人が大好きな衣料品セール 安く買うのが難しくなる理由とは
ポイントやクーポンを含めると
実は1年中セールが行われていた

企業が、企画段階でつけた正規価格で商品を販売する期間は短い。例えば秋冬商品を例に8月と9月だとしよう(実際は、この時期は企業ごとにセール参戦するしないが異なる)。この2ヶ月間は新商品だが、何か「お得感」がなければ消費者は買わないため、「ポイント2倍」とか「1000円引きクーポン」などを出して、正規上代を維持したまま値引きをする手法が蔓延している。
この2つは販管費の販促費に計上され、売上が落ちることがないため、企業は管理会計上こうして売れた商品を正規価格で売れた商品として組み込んでいる。しかし消費者からみれば、結局ディスカウントと同じだ。結果的に企業がプロパー価格で販売している期間はほとんどなく、一年中ディスカウントをしていると考えて良い。
例えば、売れ残り商品のライフサイクルを見ていくと、まずは店内セールで30%〜40%程度の値引きをする。それでも残ったものは、アウトレットにいくのだが、最近のアウトレットでは、キチンと残った商品が出るわけでなく、シーズン遅れのものか、アウトレット専用品をつくって規定の利益をとって販売しているケースもある。後者は、過去幾度かメディアなどから批判され、最近ではアウトレット専用品は「アウトレット専用品」というかたちで明示されるようになった。
それでも残った商品はファミリーセールで売り切るか、福袋などにいれて年末に売り切ってしまい、ここでも残った商品は、通称バッタ屋に渡してその生命を終えることになる。このバッタ屋は全国に販売店を持っていたり、ウェブで売ったりと決まった形式はなく、バッタ屋ごとに売り切る仕掛けは変わってくる。
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