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米セブン-イレブンによるM&Aが今後も続くであろう石油会社の戦略転換とは

コンビニ「再」成長戦略

国内人口が減少するなか、大手コンビニエンスストアは今後の成長を求めて海外事業を加速している。先行するのが、セブン&アイ・ホールディングス(東京都/井阪隆一社長)だ。とくに米セブン-イレブン(7-Eleven,Inc.)は、積極的なM&A(合併と買収)のほか、商品力向上やデリバリーの強化などにより、北米市場開拓を進めている。北米のコンビニ業界を取り巻く環境と、直近の動向を解説する。

セブンのM&Aを左右する石油会社の戦略シフト

 全米コンビニエンスストア協会によると、2023年のコンビニ市場は前年比5%減の128兆9700億円、そのうち店舗売上高は同8.2%増の49兆1400億円だった(いずれも1ドル150円換算:以下同)。

 アメリカのコンビニはガソリンスタンド併設型が多く、総売上高に占めるガソリン比率も高い。同協会の統計数値によると、その比率は62%である。昨年のコンビニ市場が前年比でマイナスだったのは、21年から22年頃にかけて発生した急激なガソリン価格のインフレが収まり、23年は逆にその価格が落ちたからである。

米セブン-イレブンの成長施策を理解するには、北米のコンビニ業界の動向を押さえる必要がある

 一方で食品や雑貨といった消費財はインフレで価格が上がっていて、店舗売上高8.2%の相当分はそれが影響しているとみて間違いない。ガソリン価格が落ちて、消費財価格が上がるという、好対照なマクロ環境だったことになる。

 クルマ社会のアメリカではガソリン価格の動向が消費マインドに与える影響は大きい。ガソリンを入れるついでにコンビニに立ち寄る比率にも大きな影響を与えると言われている。前述した8.2%増という成長率にも影響を与えただろう。ちなみにコンビニ業界のガソリン売上高は、コンビニ総市場全体の80%を占めている。

 米セブン-イレブンの最近の大きな動きとしては24年4月、石油会社スノコ(Sunoco LP)から204店舗を取得したことがあげられる。これには、コンビニの「ストライプス(Stripes)」に加えて、外食の「LAREDO TACO(ラレドタコ)」が含まれている。買収総額は

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