本多塾塾長が語る 流通業界 時事放談 第2回「足し算だけでなく、引き算の考え方が求められる時代」

(株)本多コンサルティング 代表取締役社長 本多利範
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商売の原点に立ち返る勇気が必要

 少子高齢化が進む中で、食品から日用品まで揃う、近くて便利な小商圏型の店が果たす役割は大きいものです。生活インフラとして、すでに必要不可欠な存在のコンビニエンスストアですが、近年は以前のようなイノベーションを起こすことができず、加盟店への負担ばかりが増えており、オーナーは本部に対し多くの不満を抱えています。近年はオーナーたちの悲壮な声がSNSなどで拡散され、生活者の耳目を集めています。これらのネガティブなニュースは客離れの大きな要因になりえます。

 コンビニエンスストア本部は、時短営業や無人店舗、セルフレジなどの導入も含め、オーナーの役割や利益配分について、今の時代に即したフランチャイズ方式の在り方を検討すべきでしょう。

 たとえば、電子レンジなどの家電製品は、一時期、多機能を売りにする高価格帯の商品が増えましたが、使いこなせないというユーザーも多く、直近ではシンプルな機能の商品が良く売れています。つまり、足し算だけではなく、引き算の考え方も求められているのです。

電子レンジイメージ
電子レンジなどの家電製品は多機能化が進んだ一方、使いこなせないというユーザーも多い(写真 gettyimages/Maximkostenko)

 ビジネスの成長が鈍化したということは、ターゲットのニーズに合わなくなっているということです。成長が止まった時、小売業では店を作り直すことが基本ですが、近年はそれもできなくなっています。コンビニエンスストアは、これまで足し算の考え方で多機能を売りに商売を広げてきましたが、商人の心やものを作る喜びといった、商売の原点に立ち返るときが来ているのではないでしょうか。

 目先の利益に捉われず、「お客様によりよい商品を届ける」というシンプルな考え方こそ、急速に変化していく時代を生き抜くための最も重要なポイントであると私は考えています。


(構成:石山 真紀)

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本多利範氏

本多 利範 氏

1949年神奈川県生まれ。明治大学政治経済学部卒業。大和証券を経て、1977年セブン-イレブン・ジャパン入社。1996年、同社の最年少取締役に就任(取締役食品部長、当時)。98年に渡韓し、ロッテグループ専務取締役として韓国セブン-イレブンの再建に従事。帰国後、スギ薬局専務取締役、ラオックス代表取締役社長、エーエム・ピーエム・ジャパン代表取締役社長などを歴任。2010年よりファミリーマートにて常務取締役員として新規事業を担当、15年より取締役専務執行役員・商品本部長としておにぎりや弁当など多くの商品の全面改革に取り組む。17年に取締役専務執行役員・社長補佐就任、ユニー顧問を兼務。18年に株式会社本多コンサルティングを設立。著書に『売れる化』『おにぎりの本多さん』(プレジデント社刊)など

※このプロフィールは、DCSオンラインに最後に執筆した時点のものです。

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