沈まぬアパレルその7 D2C、サブスク……新潮流のプレイヤーが地殻変動を起こす?!

森田俊一(流通ジャーナリスト)
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じわりシェア拡大するサブスクリプション

 新潮流のプレイヤーが台頭の兆しを見せる一方で、ファッションEC専業のZOZOは、ヤフー(東京都)を傘下に抱えるZホールディングスグループに入り、シェア拡大を図っていくとみられる。ZOZOあるいはヤフーがD2Cモデルの受け皿となって新興勢力を束ねる可能性も捨てきれないだろう。

 衣料品のサブスクリプションサービスもじわりとシェアを拡大しつつある。最近は「エアークローゼット」「メチャカリ」「エディストクローゼット」といったファッションレンタルサービスが広がりを見せている。

 こうしたファッションのサブスクリプションサービスの伸長により、少しずつではあるものの、「衣料品を所有しない」という文化が浸透しはじめている。さらに、先述のロケッツ・オブ・オーサムのように、運営企業がメーカー機能を保有したり、メーカーと提携したりするようになれば、一気にシェアを高めることもあり得る。

 このように、アパレルの販売チャネルは静かに多様化している。D2Cやサブスクリプションといったこれまでにない新しいモデルが、リアルアパレルのシェアをどの程度奪っていくのかは未知数である。だが、大手と呼ばれるような規模の企業も、うかうかしていられなくなっているのは事実だ。

 国内アパレルの“ジャイアント”であるユニクロの国内EC売上高(19年8月期)は、前期比32%増の832億円と成長を続けている。同社は「EC比率30%」を目標に掲げ、「ECを本業にする」と宣言、ECの世界でもジャイアントをめざす構えだ。

 近未来のアパレル市場は、新潮流のプレイヤーによる下剋上が起こっているのか。それとも、ジャイアントがいっそうの巨大化を図るのか。大きな転換点に差しかかっている。

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