【再掲】イオンモール吉田 昭夫社長 小売発想の編集力に磨きをかけ「ライフデザインデベロッパー」になる!

ダイヤモンド・リテイルメディア 流通マーケティング局
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※この記事は2015.4のダイヤモンド・リテイルメディアによるイオンモール社長インタビューを再掲したものです。

イオングループとしてシナジーをどう発揮するか

イオンモール

 

──イオングループの中でのイオンモールの位置づけや役割をどのように考えていますか。

吉田 グループの中核企業として、収益面での貢献はもちろんですが、財政状態の健全性を保つことも大事なミッションです。不動産リートの活用もそのための1つの方法です。リートの活用は不動産を持たずにリース料を払う形態ですから、損益計算書上の利益を削る一方で、貸借対照表上の資産を軽くできます。また、グループ各社が開発した新業態のチャレンジの場を提供するなど、イオンモールはグループのプラットフォームとしての役割も担っています。

 イオンはグループシナジーを最大化するために機能を集約してきました。14年度から、イオンリテールの69SCの運営を当社が受託しているのもその1つです。イオングループに出店しているテナントで構成されるイオン同友店会の加盟社数は8000社に達します。このイオン同友店会とはイオングループとしてかかわっています。

 グループ内にSCの核店舗となる総合スーパー(GMS)のイオンリテールがあることも非常に重要です。品揃えの面まで細かな連携がとれることは、当社にとって大きな強みです。たとえば、15年に出店する沖縄ライカムでは、GMSで観光客が喜んでもらえるようなお土産のほか、「かりゆし」を揃えるようにしています。リゾートというSCコンセプトに合った店づくりを期待しています。

──今後の経営課題は何ですか。

吉田 東北の復興やオリンピック需要による建築人員不足は深刻で、新規SCを出店する時期を一部見直しました。新規SC数の変更はありませんが、工期は伸びる傾向にありますから、既存SCの活性化が重要になってきます。

 また、人材育成も大きな課題です。今後、SCの個性を出していくうえでは、現場対応が大事になるからです。本部で決めたことを各SCが実行するのではなく、各SCがそれぞれの状況に合わせて対応していかなくてはなりません。

 当社には年商300億円規模のSCの責任者に、30代の若くて優秀な社員がいます。ただ、経験が浅いのは事実で、社員の能力の底上げが必要です。そのためにも、本部からエリア事業部への権限移譲を進め、現場で判断し、それを迅速に実行できる体制を整えていきたいと考えています。

──今後、どんなSCデベロッパーをめざしますか。

吉田 われわれは、これまで「輝きのあるまちづくり」を経営理念に掲げて、イオンモール周辺の町を活性化させることをめざしてきました。次のステップとして、「ライフデザインデベロッパー」になることをめざしています。

 イオンモールの周辺に住むお客さまに、必要な生活の機能のすべてを揃えていきたいと考えています。たとえば、「キッズ」というテーマに、子供服などを扱う物販店舗を集めました。しかし、ライフデザインの観点からすると、学習塾など子供の生活に関連する機能も必要になるでしょう。お客さまの生活を軸にSC全体を編集していくというのは、場所貸しの不動産業ではなく、小売業ならではの発想だと考えています。小売業出身のわれわれだからこそ、ライフデザインデベロッパーをめざすことができると思っています。

以上

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