高い能力を持ったスタッフを辞めさせないための3ステップ

2020/01/10 05:55
    成田直人
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    ステップ③ 次なる大きな目標を共創する

     最後は、一緒に目標を創ることです。これまでは会社や店長から一方的に目標を与えられて動くものだと思っていたスタッフに責任感と自主性を生み出すために目標を一緒に創るのです。

     おそらく最初は「店長考えてくださいよ~」と遠慮してくるでしょうが、「いやいやいや、一緒に考えたいんだ!」と突っぱねてください。目標とは担当する売場の具体的な売上目標でも構いませんし、新人スタッフを一人前に育てよう!と言ったテーマでもかまいません。大切なのは店の方向性とスタッフの方向性が合っているかどうかを確認し、目標設定しやすいようリードしてあげることだけです。例えば繁忙期を迎えるのに「教育する!」というテーマでは、ちょっと不適切ですよね。それよりも売りに集中できるように売上目標を立てた方が得策でしょう。反対に閑散期にはじっくりと教育ができるので新人スタッフを1人前にするという目標でも良いと思います。一緒に考えることでスタッフも責任を持って目標達成に励んでくれるようになります。

    大切なことは、実行に移すこと

     3ステップいかがでしたでしょうか。今すぐに取り組めることばかりだったと思います。店長と該当スタッフとの関係性次第で1からはじめても良いですが、2からはじめても、3からはじめても構いません。また順序を変えて取り組むのでも構いません、大切なことは実行に移すことです。

     これからの時代はますます人材力がものを言う時代になります。今までは人口も多く、一つの店を出せばドル箱状態でした。しかしそれは昔の話。オペレーション(作業中心)で稼げる時代は終わり、これからの時代は顧客の潜在ニーズをどれだけ引き出す販促案(アイデア)を量産できるかにかかっています。欲しい商品(顕在ニーズ)だけでは商売にならないのはもうお気づきでしょう。客単価も下がり来店頻度も下がっているのが今なのです。来店頻度を上げて客単価を上げるためにはアイデアが必要、まさにそのアイデアは現場に沢山転がっています。毎日働いて顧客と接しているアルバイト・パート、なかでも古株の優秀なスタッフが持っている情報(顧客の潜在ニーズ)は大変価値があるものです。

     この価値を最大限発揮できる環境を創り、支援をすることで今よりも売上アップするでしょう。売上が上がりかつての活気が戻れば、どうなるでしょう。スタッフは仕事の楽しみを今以上に感じて、離職なんて頭にも浮かばなくなります。今回紹介した3ステップを実践し、今よりももっと仕事に価値を感じられる環境を創り地域に愛される店を創っていきましょう。

     次回は、店長は何でも屋ではなく、店長にしかできないこと、やらなければいけないこと、本当の店長の仕事とは?を解明していきたいと思います。どうぞ次回もお楽しみに!

    なりた・なおと
    19歳でABCマートアルバイト個人売上日本一を獲得。マネージャーになり昨年度対比1位、2位の原動力となる。その後、PC専門店PCデポに入社し、7ヶ月で個人売上1億円を達成。翌年、「良い」よりも「成果が出る」をモットーに小売・サービス・飲食業専門コンサルティング会社「株式会社FamilySmile」を創業。現在は、一部上場企業を中心にコンサルティング・研修・講演を手がけ多くの店舗で昨年度対比120%を達成。中には、3年で売上2倍になる店も続出するほどコンサルティングには定評がある。その功績が認められ日本三大褒章の一つ中小企業のノーベル賞と言われる「東久邇宮文化褒章」を受賞。セミナー講師ナンバーワン決定戦「S-1グランプリ」初代グランプリを獲得。

     

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