実録!働かせ方改革(1) できるコンビニ店長の外国人従業員教育術はここがスゴい!

神南文弥(じんなん ぶんや)
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ネチネチと時間とエネルギーをかけるのが人材育成だ!

 今回は、アルバイトの育成に力を注ぐ店長から、私が導いた教訓を述べたい。

ここがよかった①
作業の確認を念入りにした

  ほとんどの会社で大半の管理職が部下に何らかの指示をしているはずだが、その指示のもと、どのように仕事が進んでいるか、結果はどうなったか、などと確認を本当にしているだろうか。「できている、できていない」から、さらに「どこをいつまでにどうすべきか」「そのためには、どうすると最もいいのか」と確かめ合っているだろうか。

 上司としては、これら一連の指導を「できた」と思っていても、部下がそのように感じているとは限らない。むしろ、「うちの上司は指示のしっぱなし」「命令はするけれど、それ以上をしない」と思っている場合もあるのかもしれない。これでは、「指導」「育成」はうまくいかないはずだ。本来は、双方で「確認」をしないと、作業の進捗や精度も正確には把握できないだろう。人事評価をすることもできないし、適材適所の配置など不可能だ。

 店長は、実に丁寧に確認をしていた。すぐに定着率が上がるとは思えないが、少なくともアルバイトの満足感、納得感は高まるはずだ。地道だが、このような試みをするしか、育成はできないものだと思う。私が信用金庫にいる時に以前、ヒアリングをした著名な人事コンサルタントの言葉「人の育成は、ネチネチと時間とエネルギーをかけてしていくもの」をあらためて思い起こした。

 新卒採用の場合、いわゆる母集団形成(エントリー者を増やすこと)や面接の仕方をどうするか、といったテクニカルな面に注意が向きがちだ。一方で、定着や育成について深く考え、効果のある施策や取り組みをつくろうとしている会社は必ずしも多くはない。

 今回の店も、例外ではない。新卒を雇い入れた場合、中堅の職人の下につくのは想定できていはずだ。それならば、事前に中堅を集め、パワハラなどについいて繰り返し教え込んでおくことはできなかったか。職人の世界ならば、ありそうではないだろうか。職人出身であるはずのオーナーがそのことに鈍いのが、私としては残念だった。

 「受け入れ態勢」というと、それを整えるまでに相当なコストと時間が必要に思える。その通りなのだが、はじめは、中堅や幹部に「パワハラ」「いじめ」「セクハラ」など重要な事柄を教えるだけでもいい。その後、「コーチング」などをテーマとすればよいのではないか。トラブルになりうることは、はじめに教えておきたい。

 

ここがよかった②
成長の気づきを感じさせる

 店長は、アルバイトが自らの成長を感じてもらえるようなアドバイスをしている。たとえば、「今の時点でここまでできているならば、順調だよ」と言うだけでも、効果はある。経験の浅い人は現時点でどこにいるのか、今後どうなるのかがわからないから、それらを伝えないといけない。成長の気づきを本人に与えることが大事なのだ。

 欲を言えば、その言葉を繰り返し本人に伝えることと、チーフたちも店長と同じ言葉を新人にかけてあげるとよい。店長とチーフの言葉が異なると混乱するから、双方で共有したい。「成長しているんだ」といった実感を何度も感じ取らせるのは大切な育成手法なのだ。

 

神南文弥 (じんなん ぶんや) 
1970年、神奈川県川崎市生まれ。都内の信用金庫で20年近く勤務。支店の副支店長や本部の課長などを歴任。会社員としての将来に見切りをつけ、退職後、都内の税理士事務所に職員として勤務。現在、税理士になるべく猛勉強中。信用金庫在籍中に知り得た様々な会社の人事・労務の問題点を整理し、書籍などにすることを希望している。

連載「私は見た…気がつかないうちに部下を潰した上司たち」はこちら

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