ソフトバンク、ヤフーの新流通革命1 ZOZOに続き、LINEも ソフトバンク震源の流通大再編 ECがリアル店舗を飲み込むか?

小野 貴之 (ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長)
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ZOZO買収で
国内ナンバーワンEC

 続いて動きを見せたのが、ソフトバンク子会社のZホールディングス(東京都/川邊健太郎社長:19年10月に旧ヤフーが持株会社制移行に伴い商号変更)だ。

 新設された事業会社・ヤフー(同)のほか、オフィス用品・日用品ECのアスクル(東京都/吉岡晃社長)などを傘下に持つ同社。ビッグニュースが飛び込んできたのは19年9月のことだ。Zホールディングス(発表時はヤフー)がZOZO(千葉県/澤田宏太郎社長)をTOB(株式公開買い付け)により買収すると発表。2カ月後の191113日付けでTOBが完了し、ZホールディングスがZOZO株式の50.1%を取得、連結子会社化している。

 「国内ECナンバーワンが射程圏内に入った」

 買収を発表した記者会見で、Zホールディングスの川邊社長が発したコメントだ。1999年に自社ECYahoo!ショッピング」をスタートしたヤフーだが、同時期にサービスを開始し急拡大していったアマゾン、楽天(東京都/三木谷浩史会長兼社長)の背中は遠く、13年に出店手数料無料などを打ち出すことで巻き返しを図ろうとしたものの、現在も後塵を拝している状況だ。

 ヤフーとしては、ファッションECにおいて圧倒的な強みをもつZOZOを買収して一気にEC事業を拡大。「2020年台前半まで」(川邊社長)に自社ECプラットフォームを国内ECナンバーワンに成長させたい考えだ。

 こうした戦略のもと、Zホールディングスは19年10月、モール型ECの「PayPayモール」、フリマアプリの「PayPayフリマ」と「PayPay」の名を冠した新サービスを開始している。「一人勝ち状態」(ソフトバンク宮内謙社長)となったPayPayとの相乗効果により、ECでも覇権掌握をめざす構えだ。

 こうした“流通戦略”の先に、孫正義氏が見据えているものとは何か。明日12月2日に公開する後編で明らかにしよう。

※『ダイヤモンド・チェーンストア』誌12月1日号特集から一部コンテンツ抜粋の上、加筆・再編集したものです

 

記事執筆者

小野 貴之 / ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長

静岡県榛原郡吉田町出身。インターネット広告の営業、建設・土木系の業界紙記者などを経て、2016年1月にダイヤモンド・リテイルメディア(旧ダイヤモンド・フリードマン社)入社。「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属し、小売企業全般を取材。とくに興味がある分野は、EC、ネットスーパー、M&A、決算分析、ペイメント、SDGsなど。趣味は飲酒とSF小説、カメラ

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