インタビュー:全体の力ついてきた 投資家は自社株買いより成長評価=東芝会長

ロイター
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東芝会長インタビューの様子
東芝の車谷暢昭会長は13日、営業利益が前年同期の7倍超の520億円となった4―9月業績を踏まえ「全体として力がつきつつある」と総括した。昨年5月撮影(2019年 ロイター/ISSEI KATO)

[東京 13日 ロイター] – 東芝の車谷暢昭会長は13日、営業利益が前年同期の7倍超の520億円となった4―9月業績を踏まえ「全体として力がつきつつある」と総括した。資本が適正水準を上回る場合は自社株買いも選択肢との考えを示したが、投資家が評価するのは企業の成長だとし、自社株買いには慎重な姿勢を示した。ロイターのインタビューで述べた。

東芝は、半導体子会社を約2兆円で売却した後、7000億円の自社株買いを実施した経緯がある。東芝の適正な資本水準は1兆円から1兆数千億円の間だとし「数千億円が過剰資本だった」と説明した。

東芝は同日、東芝プラントシステムなど上場子会社のうち3社に株式公開買い付け(TOB)を実施すると発表した。車谷会長は、自社株買いより高い1株当たり利益(EPS)の改善が見込めると指摘した。

今後も適正資本を超える局面では自社株買いも選択肢になり得るとしたが「いったんは収まってきている」と述べた。ただ、「投資家は成長に対して圧倒的にプレミアムをつける」とし、成長戦略の重要性を説明した。株主総利回り(TSR)の反応は自社株買いなどより企業の成長に対しての方が大きいとし「TSRを上げていくことが重要なテーマ」とした。

成長に当たってはM&A(企業の合併・買収)も排除しない考えだが、その必要性は慎重に見極める構えで、大規模な買収は想定していないと語った。

同社は中期経営計画で23年度に営業利益率8―10%の目標を掲げている。これまでに営業や調達、ITプロセスや受注、生産など、1万5000の改善プロジェクトを進めてきたと強調し、「必ずやりたい」と意欲を示した。

21年度の目標である営業利益率6%以上は、製造業としてエクセレントカンパニーといえる水準に近いとし、実現に向けて「かなり作戦を綿密に検討している」と述べた。製造業として「コスト管理をしっかりし、業務改革を進めて原価低減が毎年できる企業になれば(営業利益率)8%ぐらいは出る」と述べた。前年度の実績は約1%。

中計はハード分野が基本だとし「これにデジタルが本格的に乗ってくると、そんなもの(中計の数字)ではない」との期待感も示した。同社は、技術・製品にAI(人工知能)やあらゆるモノがネットにつながるIoT(インターネット・オブ・シングス)などのデジタル技術を組み合わせる「サイバー・フィジカル・システム(CPS)」の分野を成長の軸と位置付けている。

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