ユニクロ時代のもう1つの勝ち組 ストライプインターナショナル“100人・100億・1兆円”戦略

2019/11/21 06:09
ダイヤモンド・チェーンストア編集部

「アース ミュージック&エコロジー」をはじめとした有力ブランドを展開する一方で、ファッションサブスクリプションサービスやホテル、飲食事業を手がけ、アパレル企業の枠を超えた「ファッションIT企業」として成長を続けるストライプインターナショナル(東京都)。世界的アパレル企業が相次いで経営破綻し、国内でも大手チェーンが大規模な店舗閉鎖計画を発表するなど業界全体に逆風が吹く中、存在感を高めている同社はどのような成長戦略を描いているのか。石川康晴社長に聞いた。本稿は、11月19日に公開されたインタビューの後編です。

聞き手=阿部幸治 構成=小野貴之

ストライプインターナショナル代表取締役社長兼CEO 石川康晴
いしかわ・やすはる
1970年生まれ。岡山県出身。京都大学大学院修了。94年に創業。現在30以上のブランドを展開し、グループ売上高は1300億円を超える。石川文化振興財団の理事長や岡山芸術交流の総合プロデューサーも務めている。

売上ナンバーワン店舗はドーナツ専門店!

──投資リターンを考えると、今後はリアル店舗への投資が難しくなると思われます。

石川  当社の国内アパレル事業は出店ではなく、改装などへの投資がメーンになっていくでしょう。不採算店舗は減損を出してでも閉店していきます。業界全体を見ても、出店する体力があるところはほとんどなく、基本的に国内への出店はネガティブにとらえているところが多いと思います。

──SCにとっても厳しい時代になります。

石川  極端な話かもしれませんが、閉店(廃業)するSCも出てくるでしょう。とくに厳しいのはファストファッションです。アメリカンアパレル、フォーエバー21が日本から撤退したように、今後はファストファッションの大型店が勢いよく閉店していくと思います。そして次の段階では、国内アパレルの中型・小型店が閉店しだすでしょう。

 そうなると、当社のように出店意欲がまだある企業は、条件のよい出店場所が選び放題になります。そこはチャンスであると見ています。

──米国ではアパレルの撤退後にエンターテインメント系のテナントが入るケースが増えています。

石川  これからのSCは飲食とエンタメの時代だと思います。もちろん、当社としてもこの分野に取り組んでいきたいと考えており、来年、飲食事業やエンタメ事業をさらに強化していきます。すでに当社はドーナツ専門店やカフェ&レストランを運営しています。中でもとくに好調なのが、今年3月、京都に開業したドーナツ専門店「koe donuts(コエ ドーナツ)」です。

 現在、当社は国内に約1400店舗を展開していますが、koe donutsが1店舗当たりの売上高1位となっています。アース ミュージック&エコロジーの繁盛店よりも多くの売上をあげているのです。

──なぜ、ドーナツ専門店なのでしょうか。

石川  スターバックスの高級業態「ロースタリー」から着想を得ました。中国・上海の店舗を3年ほど前からリサーチしていて、これから「工場併設型」の時代がくると考えました。

 ドーナツ市場を見てみると、大手コンビニも撤退し、国内外のドーナツ専門店大手も苦戦しています。ですが、ドーナツは国民的おやつであり、嫌いな人はあまりいません。マーケットは大きいです。

──飲食のノウハウはどのように取り込んでいきますか。

石川  業界のプロフェッショナルな人材を獲得しています。会社を買うか人を買うか、です。そこにストライプインターナショナルとしての“デザイン”をのせていくイメージです。koe donutsでは、私たちのこだわりを記した「フィロソフィーブック」を用意しており、お客さまにはそれを読んでから実際にドーナツを食べてもらうようにしています。こうしたデザインの発想はアパレル企業だからできるものです。

 これからはデザイン思考を持ったアパレル企業がどんどん“食”を手がけていく時代になると思います。売上高100億円を飲食事業でつくるアパレル企業も現れてくるでしょう。

ドーナツ専門店「koe donuts」&ドーナツ
19年3月にドーナツ専門店「koe donuts」(京都府京都市)をオープン。「エシカル」などをキーワードとするドーナツをその場でつくってお客に提供している

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