大戸屋HD コロワイドが筆頭株主となったことで客離れから脱却なるか 

兵藤 雄之
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後継者争いの一方で業績にも影

 さて、創業家との後継者争いを火種に持ち続けていた大戸屋HDのこの間の業績はどうなっていただろうか。

 2010年3月期から2016年3月期までは増収を続け、この間に売上高は約54%増を達成していた。その後、2017年3月期は減収増益、2018年3月期は増収減益、2019年3月期にいたっては減収減益(売上高は対前期比2.0%減の2572900万円、営業利益は同34.7%減の41400万円)となった。営業利益率については、2017年3月期の2.77%から、2019年3月期には1ポイント以上も低い1.61%まで落ち込んだ。

 客離れが止まらない

 既存店の実績を見ると、この間の下降トレンドがよりはっきりする。

大戸屋HDの既存店前年同期比の表
2016年3月期から、既存店売上高、既存店客数ともに減少している。

 2020年3月期は、とくに既存店客数の落ち込みが大きくなっているが、これは19年2月に発覚したバイトテロにより、客離れはより深刻さを増すことになった。「大戸屋ごはん処りんくうシークル店(大阪府)」のアルバイト従業員が配膳用のトレーで裸の下半身を覆う様子を映した動画がインターネット上で拡散し、多くのメディアに取り上げられた一件だ。

 表面化したのが2月中旬だったため、2月は「6.4%減」にとどまったが、翌3月は「10.8%減」と大幅なマイナスとなった。

 大戸屋HDでは、3月4日の段階で、この不適切行為に関する対応として、3月12日に全店舗を休業し「従業員の再教育」と「店舗の清掃」を実施することを公表したが、この事件により、イメージが悪化し、客足が一層、遠のいたと考えるのが自然だろう。

 また、それから間もない423日に、定食メニューのうち12品目を1070円値上げしたことも、さらなる客離れを招いた。

 

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