繁盛マッサージ店が教える、離職せずに成果の上がる人材の登用・管理・育成の方法!

神南文弥(じんなん ぶんや)
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一体感をつくり、人が辞めない組織にする!

 今回は、部下の心を掌握し、店舗の経営を担う経営者の指導力や着眼のすばらしさを学ぶ事例と言えよう。私が導いた教訓を述べたい。

ここが良かった①
技術の共有を図る 

 「情報共有」が盛んだが、その場合の情報で最も大切なものは何か。私は、仕事に関する経験であり、個々のスキルや技術、技能だと思う。このあたりの共有は何かと難しいのだが、ある程度進むと、互いに深く話し合い、支え合うことができる。仕事の達成感や充実感なども味わえるようになるだろう。

 避けなければいけないのは、決算などの経営数値に関する情報共有だけ行い、個々のスキルや技術、技能の共有が行われないことだ。社員のモチベーションを管理するためには、まずは後者の共有を行うべきだ。今回のケースでは、社長がそこを見失うことなく、丁寧に進めたことが大きい。たとえば、「双方で目標とするマッサージのレベルを話し合い、共有する。そのうえで、お客がいない時間で見計らい、練習する」くだりは、ほかの業種の企業も参考にすべきではないだろうか。

今後すべきこと
一体感を大切にする

 この店は社員旅行を通じて、マッサージ師たちの心を1つにしようとしている。古典的な手法であるのだが、前述の個々のスキルや技術、技能の共有が徹底化されているからこそ、効果を発揮しているように思える。旅行をするだけでも一体感を感じ取らせることができるのかもしれないが、より効果をあげるためにも、個々のスキルや技術、技能の共有をふだんから進めておきたい。

 店舗を移動させるときにも、この一体感は崩れることはなかった。社長の手腕は高く評価されるべきものではないだろうか。この一体感は、結果的にコストの大幅な削減に繋がっており、組織存続のためには極めて重要な施策となった。今回のケースを模範に、あらためて自社で取り組めているかどうかを考えてみてはいかがだろうか。 

 

神南文弥 (じんなん ぶんや) 
1970年、神奈川県川崎市生まれ。都内の信用金庫で20年近く勤務。支店の副支店長や本部の課長などを歴任。会社員としての将来に見切りをつけ、退職後、都内の税理士事務所に職員として勤務。現在、税理士になるべく猛勉強中。信用金庫在籍中に知り得た様々な会社の人事・労務の問題点を整理し、書籍などにすることを希望している。

当連載の過去記事はこちら

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