外国人アルバイトの力を使って、顧客との関係を構築したコンビニ

神南文弥(じんなん ぶんや)
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外国人スタッフに後任を紹介してもらう

 外国人スタッフと働くことが当たり前になっているいま、部下の育成を考えるうえで、今回の話は大切な事例となるだろう。私が導いた教訓を述べたい。

ここが良かった①
職場の空気を大切にする

 この店の雰囲気はよい。店長以下、店員たちがのびのびとした表情だ。大手のチェーン店でも、店舗により多少の違いがあるのではないだろうか。店員の対応が殺伐したり、暗かったりする店があるように私には見える。

 このコンビニの店長とはふだんからよく話すが、アルバイトの店員らには物腰やわらかで、優しいように見える。教え方も丁寧で、きめ細かな感じがする。この蓄積が、アルバイトらが活き活きと仕事に取り組ませることに成功しているのだと思う。その空気の中から、

留学生の女性が声をかけてくれていたのでないだろうか。仮に店長が必要以上に厳しく、高圧的な態度で接していたら、私への対応も異なったものになっていただろう。

 アルバイトに限らず、店員の顧客への接し方は職場のふだんの空気から生まれることは心得ておきたい。

ここが良かった②
外国人スタッフのネットワークを活かす

 外国人どうしのつながりはやはり、捨てがたい。スリランカの留学生は、アルバイトを辞めるときに後任を店長に紹介した。これは、外国人を雇ううえでのメリットの1つといえる。私が店長から聞くと、日本人が辞めるときに新たな人を紹介する機会は少ないのだという。すべての外国人ではないが、一部の人は店長が依頼しなくとも、確実に後継を紹介してくれる場合があるようだ。これがうまくいけば、採用コストを削減できることに加え、留学生のネットワークの中で雇い入れることもあり、ある程度、リスクを削減できる好ケースともいえる。

 さらに、顧客や外部の取引先との関係を維持できるようになる場合もある。私が現在のスリランカの留学生に好感をもっているのも、その一例といえるのかもしれない。

 店舗からすると、いわば、固定客として維持することになっているともいえるだろう。

 このような客をひとりでも多く獲得することが、経営を安定にする。それが、アルバイトなどの店員の心を1つにするのだ。

 

神南文弥 (じんなん ぶんや) 
1970年、神奈川県川崎市生まれ。都内の信用金庫で20年近く勤務。支店の副支店長や本部の課長などを歴任。会社員としての将来に見切りをつけ、退職後、都内の税理士事務所に職員として勤務。現在、税理士になるべく猛勉強中。信用金庫在籍中に知り得た様々な会社の人事・労務の問題点を整理し、書籍などにすることを希望している。

当連載の過去記事はこちら

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