#7 北海道のスーパー「3極寡占化」がもたらした「新北海道価格」のご利益

北海道新聞:浜中 淳
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3極のシェアが約8割の超寡占化市場

表1

 それでは、今の北海道の物価はどうなっているのか。それを示したのが<表1>です。総務省統計局による最新の小売物価統計調査から加工食品30品目を抜粋し、札幌と3大都市圏の小売価格を比べてみたものです。地域色の出やすい生鮮、日配品、主食米を除外し、加工食品も、なるべく地域性が反映されにくいものを選びました。

 札幌は30品目中、およそ半分の16品目の価格が3大都市圏を下回っています。30品目を単純合計した価格を比較すると、札幌は3大都市圏よりも59%物価が安い計算になります。昨年まで2年間、東京で暮らし、今は札幌に住んでいる私の生活実感に照らしても、いい線を行っているのではないかと思います。

<表2>2017年度 北海道内スーパーストア売上高ランキング
出所)帝国データバンク札幌支店調べ

法人名 本部 所在地 売上高(百万円) 店舗数 資本系列
1 コープさっぽろ 札幌 292,878 108 コープさっぽろ
2 イオン北海道 札幌 205,299 74 イオン
3 ラルズ 札幌 127,973 72 アークス
4 マックスバリュ北海道 札幌 125,950 89 イオン
5 ホクレン商事 札幌 65,187 65 ホクレン農業協同組合連合会
6 東光ストア 札幌 45,465 28 アークス
7 道北アークス 旭川 44,732 43 アークス
8 福原 帯広 43,211 43 アークス
9 北雄ラッキー 札幌 42,907 34 独立系
10 ダイイチ 帯広 39,590 22 セブン&アイ・ホールディングス
11 道南ラルズ 北斗 24,315 17 アークス
12 道東アークス 北見 20,232 14 アークス
13 北海道ジェイ・アールFR 札幌 18,042 9 JR北海道
14 豊月 苫小牧 15,609 13 独立系
15 魚長 函館 11,688 20 コープさっぽろ

 北海道の物価が全国的に見ても安くなった最大の原因は、21世紀に入って以降、スーパーマーケットの寡占化が急速に進んだことにありました。道内地場資本のスーパーマーケットの売上高ランキング<表2>上位15社のうち10社は、イオン、アークス、コープさっぽろのいずれかの傘下に入っています。

【DCSオンライン】道内3大グループ売上高

 この3大グループ別の道内売上高をまとめたのが<表3>になります。3グループが3000億円台で並んでおり、合計売上高は9417億円。ランキング上位50社の総売上高(11900億円)に占めるシェアは実に79%に達しています。大ざっぱに言えば、3大グループで北海道市場の4分の1ずつを分け合い、それ以外のスーパーが何とか残り4分の1を押さえているという状況です。

 一般的な寡占市場は、トヨタ自動車が約40%、日産自動車とホンダがそれぞれ10%強のシェアを持つ国内自動車販売市場のようにトップ企業がやや突出している場合が多い。北海道のスーパーマーケット市場のように上位3グループの売上高がこれほど拮抗する例は極めて珍しいと言えるでしょう。

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