成長しない問題社員が生まれる理由は「野放し」「勘違い」「反省なし」にある

2019/10/09 05:20
神南文弥(じんなん ぶんや)

このシリーズは、部下を育成していると信じ込みながら、結局、潰してしまう上司を具体的な事例をもとに紹介する。いずれも私が信用金庫に勤務していた頃や退職後に籍を置く税理士事務所で見聞きした事例だ。特定できないように一部を加工したことは、あらかじめ断っておきたい。事例の後にこうすれば解決できた」という教訓も取り上げた今回は、私が会社役員を通じて聞いた話を紹介したい。

 

Photo by Xesai
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第24回の舞台:業界紙を発行する新聞社 

人員計50人、編集者15人、総務、経理5人、営業25人、事業5

 

離職率が高いため、20代後半で重責を担う

 28歳の男性の編集者がいる。名は、飯倉。2014年に新卒で入社し、経験は5年でありながら、原稿の確認をするデスク(通常は、副編集長もしくは次長)を兼ねる。さらに、実務責任者である編集長も務める。ここまでの重責を20代後半で、ひとりで担う編集者は出版、新聞業界では稀だ。

 編集部員は、飯倉を含めて6人。平均年齢が30代後半で、飯倉は2番目に若い。上司は、40代前半の副編集長。上に、58歳の編集長。新卒採用は10年ほどしていない。2014年の前に行ったのが、2005年だった。

 定着率は低く、新卒、中途問わず、入社5年以内でほとんどが退職する。現在の編集長は、25年目。その上が61歳の社長で、11年目だ。退職者が多すぎるがゆえに、ほぼ全員が管理職になり、やがては役員になる。部下育成力があるなしに関わらず、昇格する。上司のデスクも編集長も手取り足取り教えない。事実上、丸投げに近い。

 結果として、飯倉はひとりであらゆる権限を持つ。もともと、思い込みが激しく、感情的になりやすい。気性が激しく、上司にも責め立てるときがある。他人との意思疎通が、苦手ともいえる。ひたむきで、まじめな性格ではあるが、集団生活の中で成果や実績を出すことを不得手としている。ひとりで殻に閉じこもり、何かをすることはできても、チームプレーはほとんどできない。したがって、伸び悩む傾向がある。5年のキャリアの割には、基礎的な作業を時間内に正しく終えられないケースが目立つ。

 一例でいえば、この3年、外部のフリーライターとコンビを組んで仕事をしてきた。企業の「働き方改革」をテーマにした連載で、毎週1回のペースで取材し、記事にする。業務委託という形で発注しているのだが、取材先の選定、制作進行、掲載のオーダー、さらに取材相手への交渉スタイル、原稿作成にまで介入する。

 その指示は現実離れしたものや事実誤認、的はずれのものが非常に多い。特に致命的な問題は、原稿の整理をするべきであるのだが、「創作」に近い状態になっている、ということだ。この創作が、取材相手と摩擦を繰り返す。ライターがそのことを指摘すると、興奮し、言い返す。自分の考えがいかに正しいかと言い張るのみで、そこから深く考えることができない。結局、同じ問題を繰り返す。

 上司であるはずのデスクや編集長は何かを言わなければいけない。だが、育成しようとする意欲すらあまりない。飯倉は上司にありのままに報告はしない。自分のミスや不都合なことを隠す。問題が問題として残り続ける。ひとりでデスクをして、編集長、ときに役員、社長の役割までする。何があろうとも、自分が常に正しいことにすれば怖いものはない。

 飯倉は悪びれた様子もなく、人の迷惑顧みず、今日もフル稼働だ。

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