発表!ドラッグストア食品売上高&構成比ランキング

雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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売上構成比ではゲンキーが首位に

■上場ドラッグストア 食品売上高構成比ランキング
※各社の最新決算データより作成

順位 企業名 売上高構成比 増減(pt)
1 Genky Drugstores 61.2 2.5
2 コスモス薬品 56.3 0.1
3 カワチ薬品 46.2 ▲ 0.1
4 薬王堂 41.9 0.9
5 クリエイトSDHD 39.7 0.3
6 クスリのアオキHD 39.6 0.9
7 サツドラHD 34.9 0.5
8 スギHD 22.4 ▲ 0.1
9 ツルハHD 22.3 2.5
10 ウエルシアHD 22.2 0.5

 もっとも、ドラッグストア各社は各エリアで積極的な出店を続けており、全体の売上高も増加傾向にある。それに引っ張られるかたちで食品の売り上げも伸びているという側面もある。

 そこで注目したいのが、全体の売上に占める食品売上高の割合を示した、食品売上高構成比ランキングだ。売上規模ではなく構成比で見ることで、各社の食品販売に対する姿勢がよりわかりやすく見えてくる。

 同ランキングでは首位となったのは、福井県を地盤に北陸・東海地方で店舗を展開するGenky DrugStores(以下、ゲンキー)だ。同社の19年6月期の食品売上高構成比は61.2%。ドラッグストアとしては前人未到の60%の大台に乗り、売上高ランキングでは圧倒的トップであるコスモス薬品を抑えて1位となっている。前期からの伸び率も2.5ポイントと伸長。M&A(合併・買収)効果が比較的大きいと見られるツルハHDをのぞき、その他の企業はほぼ前年並みで推移していることからも、ゲンキーの伸びが顕著となっている。

 ゲンキーの特徴は、生鮮食品の販売に力を入れている点だ。食品について2000年頃から導入を進めていたが、さらなる競争力向上をねらって17年に生鮮食品の販売を開始。現在ではすべての店舗で生鮮食品を取り扱っている。さらに特筆すべきは、生鮮食品を自前で運営している点。今年に入ってからは、岐阜県安八町に約70億円を投じて、生鮮のプロセスセンターを併設した総合物流施設の稼働を開始するなど、もはや食品スーパーと遜色のない体制で食品の販売を行っている。

 ゲンキーと同じく北陸を地盤に、関西から東北にかけて店舗網を持つクスリのアオキHD(石川県)も、食品売上高構成比が39.6%に上る。同社は一部の大型店舗で生鮮と総菜をフルラインで扱っている。青果以外はコンセッショナリー(名前を出さない専門店テナント)による運営だが、鮮度管理や人材教育などの新たなオペレーションを付加することなく、鮮度や品質が高い商品を販売することを可能としている。

 こうした、生鮮を大きく扱うようなドラッグストアの店舗展開はまだ局所的といえる。しかし、そうした店舗があるエリアでは「野菜や肉をドラッグストアで買う」という消費行動は日常に浸透しつつある。鮮度や品質も日々向上しており、食品スーパーに比べて著しく劣るようなことはない。それでいて低価格で、さらには医薬品や化粧品、日用品もワンストップで購入できるという利便性が加わる――。”生鮮強化型”のドラッグストアは、地域住民にとってはこのうえなく便利な店だが、食品スーパーにとっては大きな脅威となっていることは間違いないだろう。食品スーパーは、価格対策や品質のさらなる向上はもちろん、買物が楽しくなるような商品政策や売場づくり、調理実演を交えたメニュー提案、接客などあらゆる面で早急に対抗策を講じる必要がある。

記事執筆者

雪元 史章 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

上智大学外国語学部(スペイン語専攻)卒業後、運輸・交通系の出版社を経て2016年ダイヤモンド・フリードマン社(現 ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。企業特集(直近では大創産業、クスリのアオキ、トライアルカンパニー、万代など)、エリア調査・ストアコンパリゾン、ドラッグストアの食品戦略、海外小売市場などを主に担当。趣味は無計画な旅行、サウナ、キャンプ。好きな食べ物はケバブとスペイン料理。全都道府県を2回以上訪問(宿泊)。

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