タクシー業界の喜怒哀楽 乗りながら考えたこと3つ

千田直哉
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需給バランス、崩れていないか?

 現在、全国に約25万台。関東エリアに約85000台があるといわれるタクシー車両ではあるが、労働集約型のビジネスであり、流通業同様、人手不足は危機的状況だ。

 事業会社の車庫にはクルマはあるけれども、それを操る運転手は慢性的に不足。結果として、マーケットの需給バランスが崩れているようだ。

 そのせいかもしれない。バブル期の深夜ほどではないにしろ、タクシー待ちの行列に並ぶことが最近増えた気がする。

 人手不足対策として、ある会社では、2年の雇用契約を前提に就職準備金50万円、紹介者への謝礼30万円を用意するなどの手を打った。

 けれども、それでもなり手は皆無なのだという。

 しかも運転手の高齢化は日に日に進んでおり、厚生労働省「賃金構造基本統計調査(平成22年)」によれば、この時点で平均年齢56.8歳、勤続年数は9.3年だ。

 高齢社会が進展している日本で、タクシーは高齢者を運ぶ有力な移動手段とはいえなくなくなりそうだ。

 代替手段として注目を集めるのは、海外では当たり前のように普及している配車サービスの「Uber(ウーバー)」や「Grab(グラブ)」だ。ところが、国土交通省は、「自家用車による運送サービスは白タク行為に当たる」として、導入には消極的だ。

 既得権益を守ることは少なからず大切なことだが、もはや、配車サービスを導入しなければならないほど状況は逼迫しているような気がする。

 ③個人タクシーは投資を逡巡

 さて、世の中はキャッシュレス決済の方向に急速に舵を切っている。

 この流れに個人タクシーも抗えなくなってきた。

  タクシー事業者が保有する車両にはクレジットカードやICカード対応読み取り機が装備されていることが多いが、個人タクシーはキャッシュオンリーということが一般的で、現金を持ちあわせていなければ乗れないこともでてきてしまう。

  「個人タクシーさん、何とかしてよ」、と思わず言いたくなってしまうのだが、電子マネー対応機の導入費用は35万円にも上るという。

 個人事業主の個人タクシー運転手が1か月分の給与相当分をそのために投資することはなかなかできないのが現状なのだという(なお、東京都個人タクシー協同組合は、PayPayと提携し、都内を中心に営業する東個協のタクシーに「PayPay」を導入することを発表している)。

 タクシーにまつわる3つの話を紹介したが、これからこんな事態を端緒にして業界が大きく変わりそうな予感はする。

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