「お客さまに必要のないものは売りたくない」と言うスタッフをやる気にさせ、客単価を上げる方法

2019/08/30 05:02
    成田直人
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    「会社のためにお客に損をさせたくない」という理屈を論破して行動に移させる方法

     「会社のためにお客さまに損をさせたくない」

     これもよく聞く反論ですね。客単価アップすることは、会社だけが得することだと勘違いしているのです。実は能力開発をしたくないスタッフに限ってこうした反論をする傾向があります。自分は努力をしたくないから、ブロックしてしまおうという心理が働くのです。会社と顧客の関係性を引き合いに出して会社を敵に回すことで安心感が得られるのです。

     そして、「私は会社の利益よりもお客さまのために働きたい」と言って自身の努力をしなくても良い環境を作ろうとします。新しいことを始めようとするとこうした反論はよくあるので屈しないように気をつけましょう。

     私はこの時に「本当にお客さまのためを思って仕事をする覚悟がありますか?」と確認します。すると、すでに言った手前があるので「はい、もちろん会社ではなくお客さまのためであれば・・・」と渋々受け入れます。「ではお客さまがどうしたら感動するのか教えます。」と言って、以下のような内容のことを話します。

     「お客さまがほしい商品を購入するのであればリアル店舗はもう必要ありません。ネットで購入して玄関先まで持ってきてくれる時代ですからほ、しいモノを買って感動することもありません。どうしたらお客さまが心から感動するのか。それは、『こんなことまでしてくれるの?』『こんな組み合わせがあったの?』『こんな使い方があったの?』と自身の想定内の満足度を超えた時に感動するのです。」と。

     実例を交えてわかりやすく説明してみますね。例えば、ネットをするためにパソコンを買ったとします。その時、そのお客さんと話をした際、お孫さんがいることを教えてくれました。そこで「年賀状は毎年出していますか?」と聞き、「はい」との回答をえました。そこで、「デジカメでお孫さんと撮った写真を使ってお友達にオリジナル年賀状を作ることができますよ」と提案をしたところ、「えっそんなことができるのかい!?」という期待に満ちた反応が得られました。これが感動です。

     ちょっとたとえ話が古い(私のパソコン販売店時代なので)のですが、気づいていないこと、知らないことをニーズがあることを予測(お孫さんがいる、年賀状を出しているという情報をもとに)したうえで、提案をすることで、一緒にデジカメとはがきが売れるのです。すると後日嬉しそうに、「成田さんこんな感じで作ってみました」と報告に来てくださいます。

     客単価が上がると、お客さまはこうやって感動もしてくださりファンになるのです。客単価を上げるにはどうしたらいいのか?を常に念頭に置きながらご自身のお店でも指導をしてみてください。おそらく2つの障害だけではなく、他にも障害が出てくると思います。そんな時は、「常にお客さまのためにやっている」、と熱意を持って伝えていきましょう。そして成功体験さえ積めればあとは、本人が自主的に課題創出し、解決するための学習をして価値ある販売員(スタッフ)へと成長してくれるはずです。

     次回は、スタッフのモチベーションを高め続けるためのコミュニケーションについてお話をします。

     

    なりた・なおと
    19歳でABCマートアルバイト個人売上日本一を獲得。マネージャーになり昨年度対比1位、2位の原動力となる。その後、PC専門店PCデポに入社し、7ヶ月で個人売上1億円を達成。翌年、「良い」よりも「成果が出る」をモットーに小売・サービス・飲食業専門コンサルティング会社「株式会社FamilySmile」を創業。現在は、一部上場企業を中心にコンサルティング・研修・講演を手がけ多くの店舗で昨年度対比120%を達成。中には、3年で売上2倍になる店も続出するほどコンサルティングには定評がある。その功績が認められ日本三大褒章の一つ中小企業のノーベル賞と言われる「東久邇宮文化褒章」を受賞。セミナー講師ナンバーワン決定戦「S-1グランプリ」初代グランプリを獲得。

     

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