流通再編の衝動その6 争奪戦決着!ココカラをマツキヨとの統合へ突き動かしたのは

流通ジャーナリスト:森田 俊一
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ココカラがマツキヨに期待すること

 ココカラファインとしては医薬品を軸にしているスギHDよりも、マツキヨHDが推進しているインバウンド向けの店舗づくりや商品政策、プライベートブランド開発といった分野で相乗効果が見込めると判断したとみられている。

 マツキヨHD、ココカラファイン両社ともに構造的に化粧品の売上高比率が高い。そのうえ、都市型店舗の比率が高いことから未だ旺盛なインバウンドの需要も期待できる。統合効果は出やすいと言える。

 かつてのDgS業界では大衆薬、調剤、化粧品、食品と満遍なくそろったスタンダードな商品政策が一般的だった。しかし現在は、コスモス薬品(福岡県)に代表されるような、“利益度外視”の食品の安売りでお客を呼び込み、化粧品や医薬品で利益をとるというプレイヤーが勢力を急拡大するなど、DgSのビジネスモデルは多様化している。

 これは、医薬品だけで稼ぐことのハードルが高くなっているとも言い換えることもできる。ココカラファインが設置した特別委員会は、国内外で浸透しているマツキヨHDのブランド力と成長性を推薦したのだろうというのが大方の見方だ。ココカラファインにとって、この判断が吉と出るか凶と出るか。

 ともあれ、今回の一報によって、DgS業界初の1兆円連合の誕生に道筋がついた。今後、上位DgSのM&A(合併・買収)に拍車がかかるのは必至だ。(次回へ続く)

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