人手不足でアルバイトになめられまくるコンビニ店長の悲哀と解決策

神南文弥(じんなん ぶんや)
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スタッフの縁故採用でも何でも、採用し続けることが一番重要

 程度の違いはあれ、コンビニエンスストアの最前線はこのような状況だと思う。私は、次のような教訓を導いた。

こうすればよかった①
アルバイトスタッフの中核をまとめる

 アルバイトスタッフの中核は、30∼40代の中年フリーター、外国人、高齢者たちだが、このこと自体に問題はない。理想をいえば、学生や30∼40代の主婦が増えるのが好ましいのかもしれない。しかし、労働力不足が深刻化する中、様々な世代のアルバイトでそろえるのは、現在は相当に難しい。

 むしろ、中年フリーター、外国人、高齢者をさらに増やすのが得策だ。例えば、外国人の友人である外国人を紹介してもらう。中年フリーターからの紹介でもいい。中核を成す人たちの協力を得るのが本来、真っ先にすることである。数が減っている学生や30∼40代の主婦などに必要以上に期待するのは避けたほうがいい。

 そのためにも、中年フリーターがバックオフィスのカメラの写らないところで、仮にサボっていたとしても、多少は黙認することもやむを得ない。ただし、許容限度を決め、そこを超えたところで、早急に注意指導をしたい。

こうすればよかった②
とにかく採用し続けること

 現時点で、店長夫婦と母親が相当な時間を勤務シフトに入れている。人手が足りないのだから仕方がないのかもしれないが、とりあえず、母親と妻の時間は今後、しだいに減らしたほうがいい。その時間を中年フリーター、外国人、高齢者に任せることができないか、を検討しよう。外国人の場合は労働時間に制限があるが、中年フリーターや高齢者はそれぞれ週1∼2日、1日数時間増やすことができるのではないだろうか。この層の人数をとにかく増やすのだ。

 母親と妻を現状のまま働かせていると、人手不足が常態化してしまう恐れがある。これが、怖い。現在のアルバイトのままで新規に次々と採用していないと、主力の中年フリーター、外国人、高齢者が辞めたときに取り返しのつかない状態になる。人手不足を補うためには、この業界の場合、とにかく採用し続けることだ。決して「守り」の姿勢になってはいけない。今、この夫婦はその意識になりつつある。警戒すべきだ。

 

神南文弥 (じんなん ぶんや) 
1970年、神奈川県川崎市生まれ。都内の信用金庫で20年近く勤務。支店の副支店長や本部の課長などを歴任。会社員としての将来に見切りをつけ、退職後、都内の税理士事務所に職員として勤務。現在、税理士になるべく猛勉強中。信用金庫在籍中に知り得た様々な会社の人事・労務の問題点を整理し、書籍などにすることを希望している。

当連載の過去記事はこちら

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