マックスバリュ関東の手塚大輔社長が語る、既存店への大規模投資計画の狙いと勝算

ダイヤモンド・チェーンストア編集部
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従業員満足を高め「長く働きたい」組織をつくる

──一方、店舗網を広げていくなかでは、人手の確保が大きな課題になります。

手塚 そもそも新たに採用すること自体が難しくなっているので、従業員満足を高め、離職率を下げるということに努めています。

 その一環として現在、「長時間労働の削減」と「年間2回の5連休取得」をルールづけています。後者については取得率100%を人事部門のKPI(重要業績評価指標)にしました。以前はどこか、「休みを取らせてもらう」といった風潮があったのを、「休まなければならない」という考え方にシフトさせて、ワークライフバランスの両立を図っています。この点についてはマルエツやカスミはかなり進んでいるので、参考にしています。

──店舗オペレーションの部分では何か取り組んでいることはありますか。

手塚 とくに大型の店舗ではどうしても縦割りの組織になりがちなのですが、当社では店長経験のある担当者を1人配置し、「部門の大部屋化」を推進しています。まずはグロサリーと非食品の部門からスタートしていますが、夕方の見切り品セールの準備や清掃など、作業ベースでの大部屋化も進めています。担当者には会社全体にインパクトを与えるためのロードマップづくりを指示しているところです。

──従業員のモチベーションの維持というのも大きなポイントになります。

手塚 今年度から人事制度を変更していて、透明性の高い人事評価を行えるようにしました。これは、外部コンサルタントなどは一切介さず、すべて自前でつくったものです。

 たとえば、一般社員に対しては試験の結果だけでなく、業績や行動面でのパフォーマンスを昇格時の評価に盛り込みました。これまでは試験の点数だけが合否に直結していたところを、日ごろの業務での頑張りが処遇に反映されるようにしています。また、管理職についてはジョブサイズと日ごろのパフォーマンスで評価が決まるシンプルな制度にしました。評価の透明性を高め、公平性を担保することで、モチベーションの向上につなげられればと期待しています。

今後の経営テーマは「いかに独自性を出していくか」

──最後に、今後の経営戦略の方向性について教えてください。

手塚 U.S.M.Hとしては、どのようにして「次世代の業態」に進化を遂げていくかを経営テーマにしています。ボーダレスな競争とオーバーストア化が進むなかで、1店舗当たりの商圏人口はどんどん減っています。これまでと同じことを続けていては売上も客数もみるみる落ちていくのは明らかです。そうなると、いかに独自性を出していくかということが重要になります。

 マックスバリュ関東でも、来期から始まるU.S.M.Hの新中期経営計画の策定に向けて、社内で3つのプロジェクトチームを設立し、マックスバリュ関東としてどのような部分でユニークさを持つべきか、という議論も行っています。

──中長期的に見て、マックスバリュ関東としてどれくらいの企業規模、収益性を目標としますか。

手塚 1つは、毎年新規出店できるような体制に持っていくこと。もう1つは利益率の向上で、現状では営業利益率が0.5%程度なので、これを4倍くらいまで引き上げたいと考えています。それが実現できれば投資規模の4倍のリターンが得られるようになるわけで、非常に筋肉質な経営基盤が構築できます。既存店の大規模な改装を続けながら新規出店も行い、適正な成長を遂げていきたいと考えています。

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