流通再編の衝動その1 M&Aに見出す価値激変!ダイエー、イオン、次の主役は?!

2019/07/16 05:00
森田俊一(流通ジャーナリスト)

「革新的小売業」になれるか

 これに対し、1番というのは全体の規模感ではなく「1店1店が地域で一番になることの積み重ねが必要」と説いたのが、セブン&アイ・HD名誉顧問の鈴木敏文氏である。現在もコンビニエンスストア業界トップをひた走るセブン-イレブン・ジャパン(東京都)はほとんどM&Aをしてこなかったことでも有名だ。

 消費が伸びていた時は、再編による合従連衡が有効に機能した。その好例はイオンである。「M&A案件が浮上すると決まってイオンの名前がでてくる」(ある一般紙の記者)といわれるほど、イオンはM&Aに熱心だ。

 イオンのこれまでのM&Aの歴史を振り返ると、ダイエーが本業以外にも手を広げすぎたことを他山の石とし、「本業の小売業に関連する領域でしかM&Aをしなかった」(イオン関係者)。このことが現在の売上高8兆5000億円という規模を築き上げる原動力になっている。

 しかし、令和の時代になった。「もはや『GMSだ、SMだ』という業態論の時代ではない。デジタルを活用していかにお客に寄り添っていくかの時代ではないか」。あるIT企業の社長はこんな見方をする。

 これからの流通に求められるものは、米国の経営学者マルカム・P・マクネアが提唱した「小売の輪」理論を持ち出すまでもなく、「革新的小売業」になれるかということであろう。

 たとえばGMSが展開する各カテゴリーに対してアンチテーゼを唱えたユニクロ(山口県)はじめ、ニトリHD(北海道)、良品計画(東京都)のようなカテゴリーキラー、そして、仕入れ方法や品揃え、価格を含めたGMSそのものに挑戦を挑んだドン・キホーテ(東京都)の成長がそれを示している。

 次に出てくる「革新的小売業」とはどんな企業なのか。そのために流通業はM&Aの何に価値を見出そうとしているのか。価格か、商品か、はたまたサービスか。それを具現化する競争はこれから活発化していくーー。(次回に続く)

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