既存小売業と大きく競合 事業本部長が語る、Amazonビジネスの成長戦略!

兵藤雄之
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アマゾン・ビジネス、6つの特徴

 石橋氏によれば、Amazonビジネスには法人利用に適した、次の6つの特徴があるという。

(1)豊富な品揃え
 数億点あると言われる品揃えは、Amazonビジネスに限らず、アマゾンの特徴でもあるが、建築資材やDIY用品はもちろん、カーポート、介護用品、空調設備、産業研究開発用品、計測機器、1個数十万円もするようなセンサーも取り揃えている。

(2)法人価格
 個人用では設定していなかったボリュームディスカウントや、お得に購入できる法人価格もある。数量によっては値引き依頼も可能だ。

(3)選べる支払方法
 個人用にはない、請求書払いが可能。たとえば月末締めの翌月末支払といったまとめ払いにも対応している。もちろん、コンビニ・ATM・ネットバンキング・電子マネー・代金引換など、これまでの決済方法も利用可能だ。

 Amazonビジネスは欧米でもすでにサービスをスタートしているが、欧米では掛け払いという商習慣がないため、日本でのサービス提供には社内で抵抗があったようだが、どうしても必要ということで実現したという。

(4)複数ユーザーで利用が可能
 購入商品によって、決済権者、承認フローを変えることにも対応する。

(5)Businessプライム
 最大3ユーザーまでは年会費4900円(税込)。配送サービス無料のほか、組織や役職により購入できる商品を制限するといったことも可能になる。

(6)購買分析・レポート機能
 いつ、どこの組織で、誰が、どれくらい購入したかのデータが詳しく分かる。

 これまでのところ、日本国内では7割以上の国公立大学でAmazonビジネスを利用しているほか、ユーザーの業種・業界、規模(大企業から中小企業、個人事業主)もさまざまだ。

 世界規模で見ると、ユーザー数は100万社以上、年間100億ドル(1.1兆円)以上の売上になっている。

 ではこのAmazonビジネスは、既存の流通小売事業者にどのような影響を及ぼすのだろう。

 たとえば、アマゾンがDIY商品を充実し始めたころのことだが、ある建築関係の人から、通常の建築資材についてはプロ向け資材を扱うなじみのホームセンターで「プロカード」を使って購入するが、急ぎの場合や当座の間に合わせには、現場からアマゾンに注文することが増えている、という話を聞いたことがある。しかし、Amazonビジネスならば、「プロカード」的な使い方も十分できそうだから、今後、アマゾンとホームセンターの使い分けは必要でなくなってくるかもしれない。

 また、とくに中小規模の企業では総務の備品購入にアスクルほかの通販を利用しているところが多いが、その選択肢のひとつにAmazonビジネスが加わるということも、容易に想像がつく。

 流通小売事業者にとって、アマゾンは巨大な競合である。しかしその一方で、マーケットプレイスやAmazonビジネスを活用すれば強力なパートナーともなる。アマゾンを敵に回すも、味方につけるも、あるいはそれぞれを使い分けるも、考え方次第、戦略次第になるだろうが、顧客を敵に回すことがあってはならない。

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