不二家代表取締役社長 河村 宣行 
伝統を受け継ぎ新しい発展の時代へ導いていく!

2019/07/08 00:00
ダイヤモンドチェーンストア編集部
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発売35周年を迎える「カントリーマアム」に注力

──プロモーションという点では、今年はどんな取り組みを考えていますか。

河村 昨年は発売50周年の「ホームパイ」をメーンに取り組んでいましたが、今年は「カントリーマアム」が誕生して35周年を迎えるので、とにかく「カントリーマアム」に集中していきたいと考えています。カントリーマアムを初めて発売した7月に誕生祭を行い、盛り上げていきます。35年の歴史の中で選りすぐりの35種類から「大切な人と食べたい味」を1つ選んで投票する「国民ファン投票」キャンペーンも5月21日からスタートさせました。今春実施した「みんなで出演!」ムービーキャンペーンの動画をつなげたCMは今秋公開予定です。

 9月以降は「ホームパイ」や「LOOK」ブランドにも注力します。今秋は特定の新商品というよりは、既存商品をしっかり訴求していきたいと考えています。

──来年以降はいかがでしょうか。

河村 2020年は創業110周年の節目の年であり、「ペコちゃん」が誕生して70周年の記念すべき年。そしてオリンピックもあります。さらに2021年は「ミルキー」誕生70周年です。ロングセラーブランドが多いので、こうした「周年」を核にして、売上をつくっていきたいと考えています。

 少子高齢化と人口減少が進む今、新しいブランドを出すのはなかなか難しいものです。当社に限らず他社においても、安心のブランドの傘下で展開する傾向が強まっています。そうした中で、いかに新たな驚きをお客さまに提供できるか? フレーバーを変えたり、素材を変えたり、ブランドの拡大解釈が進んでいます。

──ブランド自体を太くしていくということですね。

河村 そうです。その成功事例が「カントリーマアム」です。夏専用商品として5月に「甘夏チーズケーキ」を発売しましたが、昔は柑橘系の「カントリーマアム」なんて許されませんでした。「カントリーマアム」=「チョコチップ」のイメージにこだわり、すごく保守的だったのです(笑)。

 現在は、既存商品に加えて、季節に合わせたフレーバーの新商品をつくっているので、ぜひ売場づくりにご活用していただけたらと思います。毎月、季節商品を出していることは、不二家の大きな売りとなっています。

海外にも目を向けオール不二家で挑む

──今後の成長戦略について教えてください。

河村 国内の経営環境が厳しいこともあり、注目しているのが海外です。中国に進出して15年になりますが、扱う商品の9割はポップキャンディ。今年からオーブンを導入してビスケットを新発売しました。いよいよ中国事業は次のステップに入ったと感じています。今後は東南アジアでの製造拠点をつくることも検討しています。

──最後に、新社長としてのミッションを聞かせてください。

河村 今から12年前、当社は不祥事によって会社存亡の危機に陥りました。そこから山崎製パンさんに資本を入れてもらい生まれ変わりましたが、当社前任の櫻井康文前社長が歩んだのはまさに苦難の道だったといえるでしょう。経営が落ち着いた中で引き継いだ私の使命は、不二家を新しい発展の時代へ導いていくことです。

 不二家の強みは、洋菓子事業と製菓事業の2つの柱です。しかしながら、かつては両事業がそれぞれ別会社のようでした。今でこそコミュニケーションも活発になってきましたが、もっと融合させたいと考えています。商品はもとより、売り込みの仕方も共有できれば、より幅の広い商談や取り組みもできるのではないかと思います。オール不二家の力を駆使して、新時代を築いていきたいですね。

不二家 代表取締役社長 河村 宣行
不二家 代表取締役社長 河村 宣行

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