落日のGMSその5 優等生GMSイズミの次の一手

流通ジャーナリスト:森田 俊一
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中計目標を下方修正、迫り来る“イズミ包囲網”

 しかし、そんなイズミも今年4月、20年度(21年2月期)までの中期経営計画を大幅に見直した。3年間で40店を予定していた新規出店計画を15店とし、売上高目標は9000億円から8200億円、売上高営業利益率は6%から5.4%に下方修正した。

 この理由として同社は「既存店売上高の成長率が鈍化している。とくに大型店の(売上)けん引力が弱まっている」とコメントしている。今後は、これまでの出店中心の戦略から、M&A(合併・買収)や既存店活性化、そして食品スーパー業態の確立に重点を置いた戦略に方向転換していくという。

 もちろんイオンをはじめとした大手小売業や商業デベロッパーが展開する大型SCがイズミのドミナントエリアに開発され、競争が激しくなっていることとも無縁ではないだろう。

 だがイズミも手をこまねいてるわけではない。18年4月、イズミはセブン&アイ・ホールディングス(東京都/井阪隆一社長:以下、セブン&アイ)との業務提携を発表した。セブン&アイのプライベートブランド「セブンプレミアム」の供給、「イトーヨーカドー福山店」(広島県福山市)の継承などが提携の骨子だ。そしてこれに対抗するように、この発表から約半年が経過した10月、イズミと競合関係にある中四国地盤のフジとイオンが資本業務提携を結んだ。

 イズミの強力な地盤だった中国、九州地区も競合他社に脅かされ始めている。「(福山店以外の)ヨーカドー店舗の継承など、イズミとセブン&アイはさらなる関係強化に踏み出すのではないか」と関係者の一部からは観測されている。

 今週末6月29日には、イトーヨーカドーをリニューアルした「ゆめタウン福山」がついにオープンを迎える。セブン&アイとの関係深化は、イズミにとって成長のカギとなるか――。

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