落日のGMS その2
巨艦イオンの針路

2019/06/03 05:00
森田俊一(流通ジャーナリスト)

分権化も、成果は未だ見えず

 「岡田元也社長の高邁な思想が末端まで行き渡らない」――。
 グループ企業の幹部の言葉だ。もちろん、イオンは次々と新規事業を生み出す柔軟性があり、M&A(合併・買収)でグループの規模を拡大してきた。
 だがその一方で、イオンリテールは2兆円超の売上高がありながら、その規模の利益を引き出し切れていないとも見ることができる。
 そうしたこともあり、イオンリテールは2015年から分権化を本格的にスタートした。「(イオンの本社がある千葉・幕張からは)地方にある店舗の商圏は把握できない」(イオンの元幹部)というのが理由だ。
 具体的には、商品の仕入れにはじまり、販売促進策、人材の採用などの人事まで権限を分割、全国にあるカンパニー各社に大幅に移譲した。取りこぼしがないように、商圏のニーズをより細かく吸い上げるというねらいだ。この分権化から約4年が経ったが、収益面を見る限り、抜本的なGMS改革のメドが立つまでは、もう少し時間が必要そうだ。

イオンの針路に注目が集まる

 収益貢献度が高いプライベートブランド(PB)はどうだろうか。「トップバリュ」の売上高は現在約7500億円であるのに対し、セブン&アイ・ホールディングス(東京都/井阪隆一社長)のPB「セブンプレミアム」の売上高は1兆5000億円(20年2月期見通し)。イオンは他社に先駆けてPB開発に取り組んできた企業であるにもかかわらず、後発であるセブン&アイの約半分の売上規模となっている。

「トップバリュ」の売上高は現在約7500億円
「トップバリュ」の売上高は現在約7500億円


 PB開発を担う事業会社、イオントップバリュ社長でイオン執行役の柴田英二氏は、「トップバリュは商品の評価のし直しができていなかった」話す。商品開発時に「消費者モニターの半分以上がナショナルブランド商品よりもよいと評価しないと商品化できない」という仕組みを取り入れ、開発スタンスを変えたのも柴田氏が社長に就任してからだ。トップバリュの巻き返しは見られるだろうか。
 そのほかイオンリテールでは、GMS事業の各売場を専門店として分社化するという施策にも乗り出したり、従来のGMSとは一線を画する「イオンスタイル」を展開を進めたりなど、あの手この手でGMS改革を進めている。
 イオンのGMS改革は巨大さゆえの難しさを抱えている。これまで打ってきた施策を結実できるか。イオンの針路に注目が集まっている。(次回に続く)

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