落日のGMS その1
“総合”は終わったのか

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“総合”は終わらない

 商品ということで言えば、セブン&アイ・ホールディングス(東京都)とイズミ(広島県)は2018年4月に業務提携した。イズミは19年5月、日本流通産業(大阪府:通称、ニチリウ)を脱退すると発表。今後は現在取り扱うニチリウのPB「くらしモア」を「セブンプレミアム」に切り替えていくという。

 提携は商品だけではない。

 「テナントミックスの手法など学ぶところは多い」――。イズミとの提携について、セブン&アイの伊藤順朗取締役常務執行役員はそう話す。

イズミ
GMSではトップクラスの高収益体質であるイズミは2018年、セブン&アイと業務提携を締結した


 イズミでは、早くから自前で売場を埋める形態をやめ、テナントを多用している。イズミはGMSのなかでもトップクラスの高収益を誇り、GMS改革が成功している唯一のチェーンともいえる。19年2月期の連結売上高は7321億円で、営業利益は352億円、売上高営業利益率は5.1%と大手GMSのなかで群を抜く。セブン&アイとしては、イズミのノウハウを取り入れ、改革が遅々として進まないイトーヨーカ堂(東京都)の立て直しを急ぎたいところだ。

 他方、愛知県地盤の古豪であるユニーはドン・キホーテの完全子会社となり、“ドンキ流”のノウハウを取り入れた「ドン・キホーテ」「UNY」の「ダブルネーム店舗」を着々とオープンさせている。これら業態転換した「アピタ」「ピアゴ」などのGMSは、たちまち売上高や客数、粗利益率がアップしているのである。

 これは何を意味するのか。ドン・キホーテは衣料品、住居関連商品、食品とフルラインで商品を扱う総合業態。つまり、“総合”の2文字は決して終わったわけではないのだ――。(次回に続く)

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記事執筆者

ダイヤモンド・チェーンストア編集部 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア

ダイヤモンド・チェーンストア編集部は、業界をリードする提案型編集方針を掲げ、小売業の未来を読者と共に創造します。私たちは単なるニュース伝達に留まらず、革新的なビジネスモデルやトレンドを積極的に取り上げ、業界全体に先駆けて解説することを使命としています。毎号、経営のトップランナーへの深掘りインタビューを通じて、その思考や戦略を読者に紹介します。新しくオープンする店舗やリニューアルされた店舗の最新情報を、速報性と詳細な分析で提供し、読者が他では得られない洞察を手に入れられるよう努めています。私たちの鋭い市場分析と、現場の細部にわたる観察を通じて、注目すべき店舗運営の秘訣を明らかにします。

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