イオンと資本業務提携したフジが トップバリュと距離を置く理由

2019/04/22 05:00
聞き手:阿部幸治(ダイヤモンド・チェーンストア)、構成:森本守人

トップバリュと距離を置き
「スタイルワン」を強化

――イオンとの提携のなか、商品政策、とくにPBについてはいかに考えていますか。
尾﨑 従来通り、「スタイルワン」を強化しようと考えています。スタイルワンは、ユニー(愛知県/大原孝治社長)、イズミヤ(大阪府/四條晴也社長)、フジの3社で09年に立ち上げたプライベートブランド(PB)。最近、サンリブ(福岡県/佐藤秀晴社長)が加わり、4社で共同開発しています。

 ただ今年で丸10年を迎えますが、以前とは状況が大きく変化しています。というのも、当初メンバーであるユニーは、ドン・キホーテなどを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(東京都/大原孝治社長)の子会社、イズミヤもエイチ・ツー・オー リテイリング(大阪府/鈴木篤社長)グループとなっています。こうした状況もあり、今後は当社が中心となりスタイルワンの開発・育成を進めていく方針です。

今後フジは、PB、スタイルワンの開発を主導する存在になる
今後フジは、PB、スタイルワンの開発を主導する存在になる

――提携したイオンにはPB「トップバリュ」がありますが、そちらとの関係はどうなりますか
尾﨑 当面は距離を置く考えです。とはいえイオンのPBには気になる商品が多くあります。なかでも低価格が特徴の「ベストプライス」は、競争が激化する時代にあっては、とても魅力的です。あれだけの価格を出せる商品は他になく、スタイルワンの商品開発にも大いに参考にしたいですね。

――PB以外の商品政策はどうでしょう。
尾﨑 地域ブランドや競合店には並ばない商品を積極的に取り入れ、定期的に改廃するような品揃えを実現したい。ただそれを棚割りに組み込むことはバイヤーの大きな負担になるので、あらかじめ自由度の高いゴンドラを用意するなどの工夫で対応できればと思います。

 定番売場については、いずれAIが人間以上の働きをする時代が来るでしょう。今後、バイヤーは全国を回り、競合店にはない独自商品やローカル商品を発掘し、また交渉するといった、本来、人間が得意な業務を強化できればと考えています。

フジ小郡店
フジ小郡店

リアル店舗の存在意義を追求

――出店政策を教えてください。
尾﨑 従来、郊外を中心に店舗網を拡大してきましたが、今後は“街中”でも出店を進めます。高齢化の進行に伴い、人々のくらしは、公的機関をはじめ都市機能が集まる都心部に回帰する傾向があります。そういったエリアは、買い物をする場所が少ないところも多く、日々、必要な商品を提供する食品スーパーが必要になると考えています。

 重点エリアは松山市、広島市といった県庁所在地、さらに広島では呉市など、それに準じる都市も視野に入れています。ただ近年は適切な立地、物件が減っています。そのため1階は駐車場、エスカレーターで2階の売場で上がるといったピロティ型も検討中で、このタイプだと、これまでよりコンパクトな物件にも出店できます。

――高齢化の進行を背景に、食品スーパーの機能も変化しますか。
尾﨑 人口減少が進むと、ローカルエリアでは生活圏が各地に点在するような状態が増えます。そんな時代にあっては、小売業は単に商品を提供だけでなく、人々をつなぐ場を提供する責任があると感じています。そのため近年、新店や建て替えなどのタイミングでイートインコーナーも導入するほか、ラジオ体操などイベントを実施する店舗もあります。接客にも力を入れ、お客さまと従業員がコミュニケーションを図れる環境も意識しています。

 同時に、店舗の魅力を上げることも必要です。ネット販売が脅威となるなか、楽しく買い物ができる、エンターテイメント性のある売場づくりを通じ、リアル店舗の存在意義を追求していきます。

 環境が変化するなか、挑戦を続け、地域のお客さまの豊かなくらしづくりに貢献できればと考えています。

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