イズミ、中期経営計画修正
浮き彫りになった重要な課題とは!?

阿部 幸治 (ダイヤモンド・チェーンストア編集長)
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年間200億円の投資額は変えず
その内訳を大きくシフト!

 ただし、年平均200億円を計画していた投資額自体は維持し、投資計画の中身を大きく変えた。イメージとして、これまでは半分以上を新店投資に割く計画だったが、これを既存店活性化と居抜き出店、M&A(合併・買収)、店舗譲受の割合を増やす。

 投資リターンを考えたときに、確実な収益が見込める物件以外は出店せず、「確実な投資リターンが見込める活性化とM&Aなどにシフトする」(同)。

 既存店活性化では、大型店5店舗に加え、中小型店30店舗で改装を実施。後者ではとくに総合スーパーの中型店を中心に行う。

 食品スーパーへの新店投資を抑制することで、相対的に売上の伸び率は鈍化する。既存店活性化で増加する売上は、当然新店から得られる分よりも少ないからだ。そのため、売上高増加率は7%以上としていた当初計画から、5%以上へと引き下げた。

 中期経営計画中に重要になるのが、食品スーパーフォーマットの確立だ。総合スーパーの縮小版ではなく、損益分岐点の低い、新しいフォーマットづくりに本格的に取り組む構えだ。そのため、先進的な食品スーパー企業に人材を派遣し、運営ノウハウを学ぶといったことも行う。こうしたことを通じて、既存食品スーパーの利益率を倍増させたい考えだ。

 

 皮肉なことだが、他の有力総合スーパーと違い、本業である総合スーパーが強いばかりに、食品スーパーの改革が遅れがちになったと言えなくはないだろう。中期経営計画の隠れた最大のミッションは、食品スーパーの確立といっても過言ではないだろう。それが達成されたとき、イズミの座は盤石なものとなるはずだ。

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記事執筆者

阿部 幸治 / ダイヤモンド・チェーンストア編集長

マーケティング会社で商品リニューアルプランを担当後、現ダイヤモンド・リテイルメディア入社。2011年よりダイヤモンド・ホームセンター編集長。18年よりダイヤモンド・チェーンストア編集長(現任)。19年よりダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長を兼務。マーケティング、海外情報、業態別の戦略等に精通。座右の銘は「初めて見た小売店は、取材依頼する」。マサチューセッツ州立大学経営管理修士(MBA)。趣味はNBA鑑賞と筋トレ

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