ZARAをヒントに在庫偏在による機会ロスを激減させる!ジュンの「マイクロフルフィルメント」

堀尾大悟
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「ヒエラルキー型」から「ネットワーク型」への大転換

ヒエラルキー型とネットワーク型 こうして構築したMFSを、ジュングループでは順次導入し、対応店舗を増やしている状況だ。「全国340店舗中、約200店舗まで説明会を終えたところ。最終的には全店舗で使えるようにしたい」

 MFSの導入効果について、中嶋氏は「欠品の機会ロスを回避することで、最終的には導入店舗の年間売上の510%の改善は確保できる」と試算する。

 加えて、「年間で22万件を超える」という店舗から店舗への商品のヨコ移動の削減コストも「削減効果は約2.5億円」と見込む。今後、取り扱うブランドごとにどのくらいの機会ロスや配送コストが減らせたかをKPI化し、効果を検証していく。

 ジュングループのMFSの取り組みは、「これまでの商品配送のシステムを『ヒエラルキー型』から『ネットワーク型』へと転換するもの」と中嶋氏は語る。

 これまでの在庫管理・配送システムは、中央集権的なピラミッドのもとで一つのヘッドクォーターが在庫をコントロールする「ヒエラルキー型」だった。それを、個々の店舗が自律して、より近い店舗どうしで在庫を融通し合い、「最も速く、移動コストの少ない」最適な配送ルートを自動で選定するのが「ネットワーク型」だ。

 それくらい、ジュングループのMFSの試みは、従来のアパレル業界の配送システムを大きく転換するといってもよいだろう。日本のアパレル業界のスタンダードになるのか、注目したい。

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