中村栄輔社長が語る「モスバーガーでヒット商品が出続ける」仕組みと仕掛け

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社長も取締役も一斉にどれが良いのか手を挙げる経営会議

グリーンバーガー テリヤキ
グリーンバーガー テリヤキ

――一方で、社内改革では、トップの経営体制も思い切って変えました。

中村 当社の取締役会も以前は、社長の下に、専務、常務を置くといった、ピラミッド型構造だったのですが、代表取締役と、社外取締役を含めた取締役だけのシンプルで、フラットな体制にしました。そのほうが、経営の意思決定がスムーズに、スピーディーにできると判断したからです。そして取締役会の下で、執行役員が経営実務を担う形にしました。

――新商品の開発など重要な経営の意思決定をする場合、社長をはじめ、経営層が集まる「御前会議」が開かれるわけですが、モスフードサービスでは経営会議も、社内改革によってガラッと変わったそうですね。

中村 既存の経営会議についてかねがね疑問を抱いていたのは、結局トップが「これがいい」と言ったら、ほかの役員は誰も異を唱えることができなくなってしまう雰囲気がありました。そこで、賛否を問うときに、私を含めた全員が、一斉にどれが良いのか手を挙げる仕組みに改めました。そうすれば、トップの意向を“忖度”しなくてもよくなります。例えば、新商品を決めるときは、役員だけでなく、プレゼンテーションの担当者も、「1票」を投じられるようにしました。つまり、現場の人間も、自分たちの「推しの商品はこれ」と、意思表示できる機会を与えたわけです。

――とてもユニークな取り組みですね。

中村 私は、なるべく「ノー」と言わない主義です。経営責任は取らなければなりませんが、自分一人で決めると、間違いが多くなると考えているからです。どんなに優秀な経営者でも所詮、一人の人間の能力は限られています。それならば、いろいろな人間の知恵を集めてみんなで議論したほうが、いい案が生まれるでしょう。それが、会議を開く意義だと思います。

――そうした社内改革の成果でしょうか。最近では、貴社のユニークな新商品が続々と登場しています。今年9月の「十五夜シーズン」には、「月見フォカッチャ」の売り切れが続出し、話題を集めました。

中村 例えば2021年にも、コロナ禍で出荷量が減っていた漁業者を支援しようと、愛媛県愛南町と提携して「日本の生産地応援バーガー 真鯛カツ」を期間・数量限定で発売したのですが、多くの店舗で早期に終売するなど大人気でした。また、環境問題への意識の高まりから、食肉などを使わないプラントベースの「グリーンバーガー テリヤキ」も販売しましたが、おかげさまで好評をいただいています。多様化するニーズに合わせた商品をこれからも開発して、お客さまのご期待に応えていきたいですね。

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