オーケー代表取締役社長 二宮 涼太郎
高い増収率で2018年度売上高4000億円規模に

2019/03/15 12:53

国内食品スーパー(SM)で今、最も勢いのある企業の1つと言えるのが、「高品質・Everyday Low Price(エブリデイ・ロープライス)」を掲げるオーケー(神奈川県)だ。国道16号線の内側への出店を基本戦略とするなか、数年前からは東京23区内への出店を加速させている。オーケーの現在の取り組みや今後の成長戦略を二宮涼太郎社長に聞いた。

聞き手=阿部幸治 構成=大宮弓絵

「見積合わせ」が売上アップに貢献

──2019年3月期の中間期決算では売上高が1943億円(対前年同期比10.2%増)、営業利益が86億円(同31.4%増)と2ケタ伸長を遂げました。通期では4000億円規模に迫る勢いです。

 

オーケー代表取締役社長 二宮 涼太郎
にのみや・りょうたろう●1974年生まれ。神奈川県出身。97年東京大学文学部卒業、三菱商事入社。2008年11月Mitsubishi Cement Corporation/ MCC Development出向(米国)。13年4月三菱商事リスクマネジメント部。15年6月オーケーへ出向、経営企画室長。16年1月執行役員30%成長戦略室長兼店舗開発本部長。16年5月三菱商事退社。16年6月から現職

二宮 19年3月期は4000億円前後のペースで推移しています(注・インタビュー実施は2月中旬)。オーケーが最も重視する指標は売上高です。これを向上させるべく、18年3月期は第一に商品を見直しました。また18年4月には、当社では長らく行っていなかった取引先さまとの「見積合わせ」も行いました。単品ごとに最も低価格を実現できる取引先さまを選ぶことで、原価を低減し、それを原資に売価を下げてお客さまに還元しました。その結果、既存店売上高は同4.1%増と伸長したほか、新店の業績も好調に推移し、前年同期を上回る成長を実現できました。

判断基準は「価格」と「味」

 

──商品の見直しはどのように行ったのですか。

 

二宮 ナショナルブランド商品の価格訴求を強めるとともに、オーケー独自の商品の開発も進めています。

 

 とくに今年1月から販売する「ノルウェー産 旨い塩さば」(5kg/30枚サイズ1枚174円:以下、税抜・会員現金払い価格)は一押しの商品です。鮮度や素材のうま味を維持するために、産地で凍結させて一度も解凍せずに店舗まで運ぶ「ワンフローズン」にこだわりました。オーケーのほかの塩さばと比べて高い価格帯の商品でしたが売上は好調です。「おいしいものは売れる」ということが証明された事例となりました。もちろん、商品の売価を上げようとしているのではなく、お客さまに価値のあるものを少しでも安く提供していきたいと考えています。

 

鮮魚部門で販売する「ノルウェー産 旨い塩さば」(5kg/30枚サイズ1枚174円)。鮮度や素材のうま味を維持するために「ワンフローズン」にこだわっている
鮮魚部門で販売する「ノルウェー産 旨い塩さば」(5kg/30枚サイズ1枚174円)。鮮度や素材のうま味を維持するために「ワンフローズン」にこだわっている

 

 お客さまが最終的にSMに求めるものは高い商品力でしょう。当社では「価格」と「味」を判断基準に、他社では簡単に真似できない商品の開発をめざしています。

 

──青果売場では、POPを活用して商品のこだわりや生産者を紹介するといった、新しい試みを始めています。

 

二宮 オーケーは生産者さまと長年かけて信頼関係を構築することに努めてきました。そのため、たとえ不作の時であっても優先的にオーケーに商品を提供して下さる生産者さまもいらっしゃいます。

 

 そして今、生産者さまとのつながりをいっそう強くすることで“共存共栄”を図り、厳しい競争を勝ち残っていきたいと考えています。香川県産ブロッコリーや群馬県嬬恋村産キャベツなど、長年お取引している産地の生産者さまを私も直接訪問させていただき、商品のこだわりや生産するうえでのご苦労を伺い、それをお客さまにも伝えられるように、POPで売場での情報発信に努めています。

 

 よりよい商品を届けるためには、生産者さまと小売が直接つながっていくことも大切です。生産者さまによっては、市場を介さず、オーケーと農産物のお取引をさせていただいており、こうした取り組みをできるだけ増やしていく方針です。

 

青果部門では、生産者とのつながりをいっそう強めることで、差別化を図る。二宮社長自ら生産者を訪問し“顔の見える”関係を構築する
青果部門では、生産者とのつながりをいっそう強めることで、差別化を図る。二宮社長自ら生産者を訪問し“顔の見える”関係を構築する

 

──有職女性の増加や高齢化などを背景に、即食商品である総菜のニーズが高まっています。

 

二宮 当社はグロサリーが売上高全体の約7割を占めており、総菜・ベーカリーの売上高構成比は相対的に低くなるため現在では5%強ほどですが、今後はより高めていきたいと思います。

 

 18年8月には組織変更を実施し、総菜・ベーカリーは私が管掌するようにしています。前述の「旨い塩さば」を使った弁当といった、店頭で販売する素材を総菜としても提案できる商品を増やしていきます。

 

 ベーカリーは、高い専門知識を有するバイヤーが商品を開発しています。これからは粉から生地を捏ねる店内製造の商品を増やしていきたいと考えています。たとえば19年1月には、特徴のある国産小麦を使って小麦の風味とうま味を引き出した「小麦の極み食パン」(1斤154円)を発売し、支持を得ています。

「出店余地はまだまだある」

 

──店舗数が拡大するなか物流の効率化を図るべく、神奈川県寒川町で取得した約3万坪の土地を利用し、19年6月に新たな物流センターを稼働する予定です。

 

二宮 新たな物流センターは主にドライ商品の配送を行うものです。これまでは卸売業者が各店舗に商品を納品していましたが、今後は同センターでメーカー各社が納品する商品を仕分け、各店舗に配送します。

 

 しかし寒川町の物流センターだけではすべての店舗をカバーできないため、同時に千葉県、埼玉県、東京都東部をカバーするセンターを2つ稼働させます。

 

 寒川町の物流センターは作業の自動化を進めました。自動倉庫や、カートへの商品の積載作業を省力化できる機器などを導入して、この規模のセンターとしては作業要員を減らすことができています。

 

──19年3月期は、東京23区内を含めて10店を新規出店しました。

 

二宮 概ねねらいどおりの売上が取れています。

 

 18年3月期は、「湘南台店」(神奈川県藤沢市)や「お台場店」(東京都港区)など売場面積110~150坪の小型店を多く出店しました。

 

 一方、今期は300~600坪サイズの店舗を中心に出店しました。出店を強化している東京23区では、なかなか600坪サイズの売場面積を確保するのは難しいですが、300坪ほどあれば大きな売上をつくる店づくりが可能と考えています。300坪の店は小型店という位置づけかもしれませんが、当社にとっては標準的な規模の範囲内にあります。

 

 今期の小型店としては、2月27日オープンの売場面積約200坪の「あざみの店」(神奈川県横浜市)があります。駅からすぐの場所にあるため、人通りも多く、大勢の方にご来店していただけます。今後も小型店の場合は駅前での出店が中心になるでしょう。

 

──20年3月期の出店政策を教えてください。

 

二宮 引き続き10店前後の新規出店を計画しています。東京都内を中心に、神奈川、千葉、埼玉県でも出店を予定しています。東京23区では、まだ東側に店が少ないので墨田区や北区などにも出店していきたいと考えています。店舗改装も、19年3月期は11店舗で実施しましたが、さらにスピードアップさせます。

 

──出店競争が激化するなか、都心部はとくに物件の確保が難しくなっています。

 

二宮 競合他社も出店意欲は旺盛ですし、カーディーラーやコンビニエンスストア、マンションなど、立地を獲得するうえで異業種との競争も激しくなっています。しかし出店余地はまだまだあると考えています。すでに前例がありますがマンションの下層階へもチャンスがあれば出店していきたいですね。

 

 土地の賃借に関しては、土地取得と「差し入れ保証金方式」により進めています。最近では、オーケーのお店をよく利用してくださっている地主さまの土地で出店したケースもあります。今後もこのようなかたちで長いお付き合いができる場所へ出店していきたいと考えています。

 

オーケー会社概要

 

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