新しい!ダイソー、「1 兆円1万店」に向け進化する組織、売場、商品、フォーマットとは
7万超の圧倒的品揃えと「新MD」が強力な武器に
もっとも、こうした革新的な店舗開発の取り組みは、商品の進化なくして成し遂げられるものではない。
大創産業が取り扱う商品数は、前出の新業態を含む3ブランド合計で約7万6000品目。さらに毎月約1600品目の新商品が投入されており、改廃を繰り返しつつ、同業他社の追随を許さない圧倒的な品揃えが大きな武器になっている。
商品開発の方向性は、「話題のアイテムを100円で販売できるように再設計し、大量販売する」というもの。最新トレンドから一歩引いた位置で市場を見ながら、確度の高い商品開発を行っているのだ。しかし消費者ニーズや嗜好が多様化し、さらにダイソーのブランドパワーが高まり顧客からの期待や要望のレベルも上昇するなかで、「トレンド」と「開発」のタイムラグは縮小傾向にある。
そんななかで大創産業は昨今、市場ニーズに対応するための新規ジャンル開拓を中心とした「新MD」と呼ぶ商品群の開発を進めている。
すでに大きな成功事例の1つとなっているのが、釣り具だ。コロナ禍で密を避けられる趣味としてブームになったのと同時に、100円を中心としたルアーを豊富なSKUで発売。するとYouTubeなどSNSで話題となり、大ヒットを遂げた。
同じくコロナ禍での空前のアウトドアブームを受け、新MDの取り組みのもと強化したキャンプ用品も、成功を収めている。メスティン(飯ごう)や小型テント、アウトドアチェア、食器類などさまざまなカテゴリーを深掘りしアイテム数を拡充。専門店レベルの品揃えを手頃な価格で提供することで、“キャンパー”の支持を獲得している。
新MDをはじめとするトレンドを押さえたスピーディな開発体制が、新業態を含む店舗・売場の進化を支え、ロイヤルティの向上、顧客層の拡大に寄与しているのだ。