コロナ反動と値上げで伸び悩む生協宅配 さらなる進化の伸び代と戦略… とは
生産者との関係を強化し、商品力で差別化
商品面においては、生産者との関係強化に取り組んでいる。生協はかねてより全国の生産者とのネットワークを構築し、産直商品を強みとしてきた。そんななか、昨今のウクライナ情勢により、世界情勢に左右されない国産商品の需要がこれまで以上に高まっている。国産品には供給量に制限があるものの、生産者との関係を強めることで安定供給を実現し、値上げが続くなかでも付加価値を提案することで差別化につなげる考えだ。
たとえばパルシステム連合会(東京都)は、畜産農家とともに肥料の国産比率向上に取り組むほか、産直農家と取引先メーカーをつなぎ、産直商品の開発をこれまで以上に進めようとしている。
外部企業と積極的に手を組み、品揃えの魅力を高めているのがコープさっぽろ(北海道)だ。同生協は良品計画(東京都)との協業を進め、若い世代を中心に支持の高い「無印良品」の食品や日用雑貨を宅配サービスで扱い好評を得ている。同生協の大見英明理事長は「道内の物流インフラを強みに、外部企業のEC物流を代行するプラットフォームのような役割も果たせる」と述べ、今後も外部企業との連携を広げていく姿勢だ。
商品プロモーションも従来と異なる手法に挑戦している。力をいれるのが、生協が長年の課題とする若い世代の取り込みだ。組合員全体のうち20~40代の割合が2割に満たない生協は多い。そこで、人や環境に配慮した「エシカル消費」に対応した商品開発・アピールやSNSによる情報発信など、若い世代へのアプローチを強化している。競合サービスも攻勢を強めるなか、次の利用者の中心となる若年層の獲得は生協にとって避けては通れない課題であり、いっそうの試みを進めている。