取り扱いは生鮮3品のみ タチヤの都市型新業態の全貌とは

取材・文:雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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バローホールディングス(岐阜県/田代正美会長兼CEO:以下、バローHD)傘下のタチヤ(愛知県/武田大輔社長)は今年6月、名古屋市内に「タチヤ錦二丁目店」(以下、錦二丁目店)をオープンした。200坪弱のコンパクトな店内で販売するのは、基本的に青果、鮮魚、精肉のみ。生鮮に“完全特化”した、異色のフォーマットである。その全貌とねらいとは──。

名古屋市内の繁華街に生鮮特化型店舗を出店!

タチヤ錦二丁目店
錦二丁目店の外観。既存店とは異なる落ち着いた雰囲気を醸し出す

タチヤ錦二丁目店 店舗概要
●住所: 愛知県名古屋市中区錦2-7-18
●オープン日: 2022年6月3日
●売場面積: 約184坪
●アクセス: 名古屋市営地下鉄「伏見」駅、「丸の内」駅からそれぞれ徒歩約5分

 名古屋市内でも有数の繁華街の1つとして知られる錦地区。オフィスビルや飲食店、ホテルなどが建ち並ぶこのエリアに、6月3日にオープンしたのが錦二丁目店だ。新築の高層マンションの駐車場棟1階部分への出店。ファサードはタチヤおなじみの黄色い看板ではなく、モスグリーンを基調とした「Fresh +QualityTACHIYA」と記されたロゴが配され、落ち着いた印象のデザインになっている。

 外観からして従来のタチヤとは一線を画した雰囲気だが、店内はさらに“異色”だ。まず、売場面積は184坪とタチヤとしてはかなりコンパクトなサイズ。そしてそこで売られているのは、青果、鮮魚、精肉の生鮮3品のみ。調味料や加工食品もわずかながら置かれているが、その数はごく限られている。

 とはいえ、売場の雰囲気はタチヤそのもの。売場最前部では旬の青果がボリューム感たっぷりに陳列され、その傍らにある作業場からは従業員が威勢よく声出しをしている。鮮魚売場では全国から集めた新鮮な丸魚が所狭しと並び、それらをネタに使った寿司も飛ぶように売れていく。そして精肉は黒毛和牛から輸入肉まで幅広い価格帯と容量で提供。周辺に飲食店も多いことから、業務用の塊肉なども揃える。販売方針もタチヤ流の「当日売り切り」、仕入れや売場づくりは店長や各部門チーフが大きな権限を持つ徹底した個店主義が貫かれている。

タチヤ錦二丁目店の青果売場
売場最前部の青果売場は旬の野菜や果物がボリューム感たっぷりに陳列され、多くのお客で賑わう

バローHDの「専門店戦略」の筆頭を担う

 東海3 県で食品スーパー(SM)を展開するタチヤだが、その多くは郊外立地であり、錦のような都心部の繁華街への出店は初めてのことだ。

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取材・文

雪元 史章 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

上智大学外国語学部(スペイン語専攻)卒業後、運輸・交通系の出版社を経て2016年ダイヤモンド・フリードマン社(現 ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。企業特集(直近では大創産業、クスリのアオキ、トライアルカンパニー、万代など)、エリア調査・ストアコンパリゾン、ドラッグストアの食品戦略、海外小売市場などを主に担当。趣味は無計画な旅行、サウナ、キャンプ。好きな食べ物はケバブとスペイン料理。全都道府県を2回以上訪問(宿泊)。

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