無慈悲な競争力の源泉は?コスモス薬品、進む地域完全制圧と付け入る死角

雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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生鮮は「本格導入しない」も全否定はできない理由

 他方で、本誌でも継続的に報じているとおり、他のフード&ドラッグ各社は、生鮮導入を軸とした成長戦略を描いている。たとえばクスリのアオキホールディングス(石川県/青木宏憲社長)やGenky DrugStores(福井県/藤永賢一社長)、そして今年9月にイオン九州(福岡県/柴田祐司社長)とフード&ドラッグ専業の合弁会社「イオンウエルシア九州」を設立したウエルシアHDなどがその一例だ。

 対して、コスモス薬品は生鮮食品を積極的に導入することはしていない。ただ、本特集で実施した消費者調査では、「生鮮の品揃えを増やしてほしい」という声が多く集まった。PBを含めて豊富な品揃えを食品でも実現しているコスモス薬品に、一般消費者から「生鮮も買うことができたらいいのに…」という注文がつくのは自然な流れだろう。

 しかし、複数の業界関係者は「コスモス薬品に生鮮導入は難しい」と指摘する。前述の徹底的に標準化・効率化されたオペレーションが完成しているなかで、鮮度管理や新たな売場設計が必要となる生鮮を入れることは現実的ではない、という見方によるものだ。

 事実、冒頭の決算説明会においても横山社長は「(生鮮導入は)現状では非常に難しい」との認識を示している。ただ、それと同時に、「各エリアで適切なパートナーとの出会いがあれば、手を組みたい」という主旨の発言もあった。競合他社が生鮮導入を本格化し競争力を高めているなかで、その可能性を“完全否定”することはできないのかもしれない。

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