無慈悲な競争力の源泉は?コスモス薬品、進む地域完全制圧と付け入る死角
徹底した標準化・効率化で「地域完全制圧」を現実に
コスモス薬品の経営戦略についてあらためて確認しておくと、前述のとおり「小商圏型メガドラッグストア」の高速・大量出店が核となっている。この小商圏型メガドラッグストアというフォーマットとしての特徴は、①DgSとしては大型の売場面積2000㎡、②加工食品、日配品をはじめとする食品を豊富に取り扱い圧倒的低価格で訴求、③高速出店を前提にした徹底的に標準化・効率化された店舗オペレーション、④人口1万人の狭小商圏でも成立する、といった点にある。
とくに、③で挙げたオペレーションの標準化・効率化は、コスモス薬品の企業文化そのものともいえる。発注や品出しなどの店舗業務、棚割り、MD(商品政策)、売場レイアウトなど、店舗運営を支えるありとあらゆる要素が、徹底的に標準化・効率化された設計になっている。また、業務を煩雑化させる会員カードやポイントプログラムは導入しない、手数料がかかるキャッシュレス決済には対応しないといった点も、他のチェーンストアではあまり見られないポイントだ。
しかし、そのように確立されたオペレーションがあるからこそ、高速・大量出店が可能であり、商品の価格を安く維持できる。そして競争力の高い店舗網を全国に広げることで、各地でのマーケットシェアをどんどん高める──。横山社長が言う「地域完全制圧」という刺激的な言葉は、コスモス薬品の強固なビジネスモデルに裏打ちされたものなのだ。