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値上げ局面で、「信用」と「個店経営」が必要なワケ

なぜ物価高騰期に「信用」が必要なのか

 コストアップと物価高の今、「安さ」の実現が喫緊の課題と思い込んでいる企業が多い。だがそれは錯覚であり、今最も重要な課題は「信用」の確立である。なぜなら、こういう時期こそ、お客が浮き足立って、たとえば「安売り販促」で行き付けの店を変えたりする時だからである。

 信用とは、「お客になり続けてもらうこと」であり、それは「カスタマーを創る」ということである。信用は、言い換えればカスタマーの創造である。ではなぜそれが、「個店経営」と関係があるのか。順に考えていこう。

コストアップと物価高の今、「安さ」の実現が喫緊の課題と思い込んでいる企業が多い。だがそれは錯覚であり、今最も重要な課題は「信用」の確立である。(i-stock/Hakase_)

 まず、信用とは何か。信用は普通心理や精神の問題だ、と誤解されている。だが実は信用は、「心理」ではなく、「行動」の問題である。心でどんなに「あの店はいい店だ」と思っていたとしても、実際に「その店にお客になって行き続ける」という行動がなければ、それは本当の信用とはいえない。

 その店に繰り返し来店するカスタマーになることこそ、何よりも大きな、いや唯一といっていい信用である。元々、カスタマーという言葉は、同じ店で同じモノを繰り返し買うことが、「custom」、つまり“習慣”になった人のことをいう。習慣とは、繰り返すことだからだ。

 では、カスタマーを創るにはどうすればいいのか。

 少なくとも流通業に関していえば、信用を創る方法は3つある。①安さ、②便利さ、③商品および品揃えである。

ウォルマートはなぜ「信用」を獲得できたのか

 物価高の折、多くの流通業が①の「安さ」を前面に押し出す。だがこの安さほど、信用を勝ち得るのに難しい手段はない。

 安さは、

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