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「個店経営」でこそ、真のコストダウンが可能な理由とは?

コストダウンは努力目標にあらず

 価格高騰の勢いが増すばかりだ。価格高騰には「コストダウン」で応えるしかない。前回は「ストアブランド(SB)のプライベートブランド(PB)」を提案した。今回は個店経営が、どのように効果的にコストダウンを可能にするか、そのメリットを指摘したい。

 コストダウンにおいて重要なのは、「まずコストダウンから考えないこと」、それを「努力目標にしないこと」、そして「全員でそれを思考しないこと」である。

 コストダウンがテーマなのに、「コストダウンから考えない」とはどういうことか。コストダウンを組織の全員に命令すると、当然、それぞれが「今、自分がやっていること」を見直し、そこにムダを発見し、それを省く。だがその方法では、「今やっていること自体が実は必要ないのでないか」という検討はなされない。全員が自身の仕事を見直して、「自分が今やっているのは要らないことだ」と申告することはまずあり得ないからだ。

コストダウンにおいて重要なのは、「まずコストダウンから考えないこと」、それを「努力目標にしないこと」、そして「全員でそれを思考しないこと」である(i-stock/Jirsak)

 例を挙げよう。現在は多くの店でセルフレジ、キャッシュレスレジといった「レジの無人化」が進んでいる。それらはキャッシャーの思いつき、あるいは申告から始まったのかというと、そうではない。

 きっかけはコロナ禍だ。人と人との接触を減らすにはどうしたらいいかをマネジメント陣が考えた結果、一挙に採用が増えた。それはキャッシャーの「外」から考えて初めてできたことであり、全員号令方式では考えられなかった。

 だからコストダウン大号令は努力目標、すなわち「精神論」で終わる場合が多い。コストダウンの要諦は、精神論は捨て、企業全体を冷静な目で外から見ることにある。個店経営も、わが店の全体を冷静に見なければできない。なぜなら個店経営は、売上高、コスト、利益、客数のすべてについて、個店に責任を問うシステムだからだ。

 同時に個店経営は、商品のマーチャンダイジング、ロジスティックス、新商品開発などの、個店を支える(いわゆる本部)部門にも、絶えず個店群のニーズに応え、新しい提案をしているか、その任務実行の責任を問う。個店経営においては、日常業務を果たすことそれ自体が、おのずとコストダウン探求を伴うのだ。

その「売場部門」は本当に必要なのか

 そこで個店経営企業が、まず取り組むべき第1のテーマは、

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