調達改革に組織づくり…トライアル、不得意だった生鮮が劇的変身した”理由”とは?

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トライアル大

昨今のトライアルの劇的変化を最も印象付けているのが、生鮮食品の品質向上と品揃えの拡充だ。価格だけでなく品質面での競争力が向上したことで、お客の支持をこれまで以上に拡大させている。決して生鮮を得意としてこなかったトライアルは、どのようにして生鮮改革を成し遂げたのか──。

社外の人材・ノウハウを活用、生鮮改革を支える「トップ報告」

 トライアルはかねて、ナショナルブランド(NB)を中心とした一般食品および衣料・住関連品の圧倒的な安さを武器に集客を図り、成長を続けてきた。その一方で、生鮮食品についてはお客からの強い支持を得られているとは決していえない状況であった。

 大きな理由としては、グループ全体の事業規模が加速度的に拡大するなかで、鮮度管理や仕入れ先の開拓など独自のノウハウやスキルが求められる生鮮部門での人材育成が追い付かなかったという背景がある。

トライアルストアーズの笹渕勝社長
トライアルストアーズの笹渕勝社長

 しかし、トライアルは決して生鮮を軽視していたわけではない。経営戦略上、各地域でのマーケットシェア向上を最重視する同社にとって、「生鮮改革は大きな課題として常に認識されていた」と振り返るのは、トライアルの生鮮部門を統括するグループ企業、トライアルストアーズ(福岡県)の笹渕勝社長だ。

 生鮮3部門と総菜部門のレベルアップを図るべく、本腰を入れたのは今から十数年前のこと。前述のとおり、社内に生鮮食品の調達、商品開発、売場づくりに関して豊富な知識と高い技術を持つ人材が限られていたため、社外の有望な人材にアプローチを重ね、迎え入れるという手法をとった。

 とはいえ、「単にヘッドハンティングすれば、うまくいくものではない」と笹渕社長。「中途入社した人材のそれぞれが持っている知識や技術を、トライアルの価値基準と融合することこそが、生鮮改革を進めるうえで最も重要なポイント」だという。

 つまり、個々の人材のノウハウをトライアルに移植させることがねらいではなく、トライアルとしてのビジョンや経営戦略、企業文化などをまずは十分に理解してもらったうえで、各人の知識・技術を生かして新しい価値を創造することを重視したのだ。「まずは

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ダイヤモンド・チェーンストア編集部 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア

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